スタインベックの名作『ハツカネズミと人間』
某日、「#海外文学のススメ」というハッシュタグを見かけ、読書が好きな僕はすぐに便乗して投稿しようと思いました。
なぜかわからないけど、タイトルはジョンスタインベックの『ハツカネズミと人間』にしようとすぐに思いついて。いわゆる直感というもので、自分の直感には基本的に従うことにしているんです。
直感で思いついたくらいだから、『ハツカネズミと人間』は過去に読んだことがあります。爆笑問題のラジオで紹介されていた『エデンの東』を夢中で読破したことがきっかけでスタインベックという作家に興味を持ち、ほかの作品も読んでみたいと思ったのが始まりでした。
当時住んでいた小さな町の本屋にはスタインベックまでスペースを割いている余裕がなかったみたいで、辛うじて置いてあった一冊が『ハツカネズミと人間』。なるほど言われてみれば、たったの150ページしかなく薄べったい。
こうして、偶然に偶然が重なるような形で僕はスタインベックの傑作に巡り合ったわけです。
あらすじ
舞台は20世紀初頭のアメリカ・カリフォルニア。農場を転々とする渡り労働者のレニーとジョージの物語。二人はいつか自分の土地を手に入れてそこで暮らすという夢を追っているが、ある日その夢を阻むような悲劇に見舞われる。二人の人生はいったいどうなるのか――
テーマ
結論から言ってしまうと、この小説のテーマはレニーとジョージの夢が叶うかどうかなどという単純なものではありません。人間とは何たるか、を描いたヒューマニズムにあると僕は思います。「どうあるのか」という客観の描写を通して結果的に「どうあるべきか」という主観を描き出しているさまが見事。最後の一文なんて、それを書くためにこの小説を書いたのではと思ってしまうほど、強烈なものです。
こんな人に読んでほしい
・読書に興味はあるのに、長続きせずいつも挫折してまう人
→短いので気軽に読めると思います。
・難しい本に挑戦してみたいけど、まだ勇気が出ない人
→深いテーマがシンプルに描かれているので読みやすいと思います。
・ちょっと知ってるぜ的な顔をして、カッコつけたい人
→世界的に有名だけど読書家でなければ知らないのでは、という絶妙な位置にいる作家です
おまけ スタインベックについて
冒頭にも書きましたが僕は『エデンの東』がきっかけでスタインベックという作家を好きになりました。僕にとって作家で好きになる経験をしたのは恐らくスタインベックが初めてのことです。
彼の作品の好きなところは、淡々としているのに劇的であること。一見矛盾しているようにも思えるのですが、実は両者って共存できるもので。文体や話の流れ方自体は淡々としているのだけれど、その中で起こる出来事やストーリーそのものが劇的、という印象でしょうか。ピューリッツァー賞受賞作の『怒りの葡萄』などはその好例かと思います。気になる方は合わせてぜひ読んでみてください。