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LINE株式会社を退職しました(①私がLINEを大好きになった理由と魅力)

もくじ

  • 私がLINEを大好きになった理由と魅力(←本記事)

  • Computer Vision Lab新規設立の喜びと苦労

  • 退職理由

※なお、本記事に企業の機密情報や悪口は含まれません(当然)
※後編はコチラ


LINE株式会社を退職しました

実はAI事業承継による転籍で2023年3月31日時点で既にLINE株式会社を退職していました。その後はLINE WORKS株式会社(旧称:ワークスモバイルジャパン株式会社)を原籍としつつ、出向してNAVER Cloud Corpで働きました。

ただ、AIリサーチャーの役割は変化しなかったし、担当プロダクトも継続だったので、私の中ではLINE社でずっと働いていた気持ちでした。

なので、正確にはLINE WORKS株式会社を退職したわけですが、初めてこのタイミングで「LINE株式会社を退職した」と実感しています。


私がLINEを大好きになった理由と魅力

後学のために、LINEで働いて気づいた点をまとめます。中にいると当たり前でも外から見ると新鮮かもしれませんし、皆様にとって少しでも「なるほど」という発見があれば嬉しいです。

コーポレートミッション「CLOSING THE DISTANCE」への共感

現在はLINEヤフーへと合併しましたが、当時のLINE株式会社はコーポレートミッションに「CLOSING THE DISTANCE」を掲げ、以下のように述べていました。

LINEでは、世界中の人と人、人と情報・サービスとの距離を縮め、心地良い関係性を創出する“CLOSING THE DISTANCE”をコーポレートミッションに掲げ、全てのサービス、CSRをはじめとする様々な活動を展開しております。

https://linecorp.com/ja/csr/ceo

私はこの言葉が大好きでした。まさにLINEアプリが古今目指している内容です。名は体を表すかの如く、ここまでミッションが会社を的確に表現している事例は珍しいです。

ミッションとは的確で具体性があるほど共感しやすく、共感した社員ほど自組織を誇れるようになります。ミッションへの共感と理解が深まると、組織方針に一貫性が生まれ、一人一人が自律的に判断して行動ながらもスコープを外さない一体感のある仕事に繋がります。

私はオムロン在籍時代から、飛躍的な進歩を遂げているAI技術が、学術領域や論文の中だけに留まるのではなく、ちゃんとユーザ体験として手元まで届くようにしたいとずっと考えていました。いわば「ヒトと技術の距離を縮めたい!」ということです。こんな背景もあって私はコーポレートミッションに大きく共感しました。

このように、自分自身がやりたいこととうまく重なったコーポレートミッションに巡り合い、共感しながら働けたことは幸運だったに違いありません。「CLOSING THE DISTANCE」は退職した今でも、LINE株式会社が無くなった今でも、大好きな言葉です。

技術成果をプロダクトに積極展開できる組織設計

「ヒトと技術の距離を縮めたい!」と考えていた背景もあって、LINEの技術成果をプロダクトに積極展開するベンチャー気質な姿勢と、それを実行できる組織設計がなされている点にも、大きな感銘を受けました。

私が担当した領域では、研究成果をプロダクト展開する体制が整っていました。顧客と直接やりとりする営業部門がカスタマーボイスを拾い、マーケティング部門は戦略を立て、これらを踏まえて企画部門が「こんなことを実現したい」という企画を作成する。そこからエンジニアやリサーチャーに相談が届いて「それならモデルをこのように改良しよう」「機能実現のために1年がかりで研究プロジェクトを立ち上げよう」といった議論がなされます。

ここで私が特に気に入ってるのは、各々が好きで得意な仕事領域にフォーカスできるよう組織設計されていた点です。各工程のプロフェッショナルが密に連携したおかげで、各々が自分の得意領域だけに専念できます。さらに、専念できるように「その仕事は(私の領域だから)代わりにやるよ〜」と互いに支援する場面もありました。私はこれを「左利きの人に右手で仕事をさせない」と表現していました。能力ストレッチ観点もあるので一概に良し悪しは語れませんが、少なくともLINEには得意なことだけに集中して120%能力発揮できるよう支援する環境がありました。

なぜ組織関連系がうまくいくのか?

これは、組織体制を真似すれば即座に実現できる話ではありません、おそらくキーファクターはリスペクトと信頼関係にあったと私は確信しています。

私が最初に担当した247万点のデジタル化資料をテキストデータ化するプロジェクトは、複数部門の連携によって苦難を乗り越えながら完遂に至りました。これをきっかけに、この事業領域においては営業からリサーチャーまで一連の機能を有する固い絆のチームが出来上がったように感じています。

こう書くと「けっきょく人かよ」「マインドの話かよ」「方法論が知りたいんだよ」とガッカリさせたかもしれません。でもやはり、いま改めて振り返ってもキーファクターは人間関係です。このプロジェクトを一緒に取り組んだ仲間は、プロジェクト終了後にもなんでも相談できる間柄で、いつも協力的で、助け合う文化があって、真の意味で心理的安全性が成立していました。

ひょっとすると、リスペクトがあったから上手く連携できたのではなく、鶏と卵ですが、各々が異なる専門性を発揮して任せあった(そして各々が期待に応えた)ためリスペクトが生まれたのかもしれません。

このときの組織や人間関係を再現できれば今後もインパクトある成果を連発できると確信しています。ただ、残念ながら明確な方法論は私もまだ見つけられていません。

機械学習のR&Dを支援するLFK

私がいくら感謝してもしきれないと感じているLFK(LINE Fukuoka)も紹介させてください。当時のLFKは機械学習のR&Dを支援するためにアノテーション業務を担ってくれました。勘のいい人は「クラウドソーシングと同じようなもの?」と思ったでしょうが全くクオリティが異なります。LFKの特徴として事業やプロダクトを理解している点が挙げられます。そして、これらに理解のあるアノテーション集団は価値の高いアウトプットを出せます。

具体的には、闇雲に指示通りアノテーションするのではなく「あれ?このパターンだと矛盾しないか?」「この方針だとモデルがこんな学習しちゃうリスクない?」「こんな例外データがあったので方針修正すべきでは?」といった提案や相談をくれます。私が携わったR&Dテーマでも、学習データセット構築にあたって「こうした方がいいのでは?」という議論を4往復くらいした結果、いっそう学習価値の高いデータセットを構築できました。

データの品質管理、作業者の健康管理、ツールの繰り返し改善による効率化など、まさにLFKはこの領域のプロフェッショナル集団だったといえるでしょう。この場をお借りして深く感謝を申し上げます。


筆が走りすぎて、予定より長文になったので記事を分けます。後編ではComputer Vision Lab新規設立の話と、退職理由を記載します。

後編:LINE株式会社を退職しました(②Computer Vision Lab新規設立の喜びと苦労)

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