”男女の友情”という永遠のテーゼ~「恋人たちの予感」
1980年代というのは、社会的に男女平等を進められてきた時代だった。
日本で言えば1986年に「男女雇用機会均等法」が施行されたが、遡ると1979年に国連で採択された「女子差別撤廃条約」が基となっている。
ハリウッドもその例にもれず、俳優だけでなくスタッフにも女性が進出していった。
今でこそ珍しくない女性脚本家の作品、1989年公開の「恋人たちの予感」である。
テーマは「男女の(セックス抜きの)友情は成立するか」である。
まあ、こう銘打って本当に成立してしまったら物語にならないのであって、要は定められた結末に向けてどういう展開で進んでいくか、という点がポイントとなるわけだ。
その界隈ではこのテーゼは依然として未解決となっているようで、21世紀になっても同じテーマの映画が作られては人気を博している。
たとえば、こちらの映画もそうだろう。
全体で100分にも満たないながら、アメリカ青年のイベントや心情、ニューヨークの折々の風景などが垣間見えて、とても雰囲気たっぷりの仕上がりになっている。とりわけメグ・ライアン演じるサリーの少々独特なセリフ回しや思考パターンは、女性脚本家ならではといったところか。
評論家の町山氏によれば、”I love you”で終わるのではなく”I hate you”で結ばれるところが画期的な場面だという。
観ようによってはとても味わい深い作品ではないだろうか。
今まであまり知らなかったのだが、もっと知られてもよい佳作だと思った。
ちなみに冒頭の「女性差別撤廃条約」だが、当のアメリカは未批准とのこと。
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