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週刊カナメくん

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カナメくんが死ぬまでは続きます。 *週刊は嘘だと思います。
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#小説

「カナメくんはお金がないから働く」

「カナメくんはお金がないから働く」

 カナメくんはお金がないから働く。言い換えるとするならば、カナメくんは働いているのにお金がない。まったくないわけではないけれど、カナメくん自身が、お金がないと思うとするならそれはお金がないのだと言ってもいいと思う。どうしてお金がないのか。それはカナメくんがお金を使うからだけれど、使うお金があるということならば、お金があるのではないかと思われてしまうこともある。

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「カナメくんは泣く泣く手放した」

「カナメくんは泣く泣く手放した」

 カナメくんは泣く泣く手放した。カナメくんは泣く泣く手放すのだから、受け取る人には大変な感謝をしてもらいたかった。だってカナメくんは、場合によっては手放さなくたっていいのではないかという風に思っていた。もちろん手放す以外に、方法はないんだけれど、受け取り側の態度とか、表情とか、そういうもの、そういう様々な要素が、たしかな正しさで用意されているかどうかが何より重要

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