「カナメくんは泣く泣く手放した」
「カナメくんは泣く泣く手放した」
カナメくんは泣く泣く手放した。カナメくんは泣く泣く手放すのだから、受け取る人には大変な感謝をしてもらいたかった。だってカナメくんは、場合によっては手放さなくたっていいのではないかという風に思っていた。もちろん手放す以外に、方法はないんだけれど、受け取り側の態度とか、表情とか、そういうもの、そういう様々な要素が、たしかな正しさで用意されているかどうかが何より重要で、それらが万一、不備を抱えていた場合には断固として手放さないつもりであった。け