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【アンメット】【アンチヒーロー】【夜のクラゲは泳げない】 劇伴で見る2024春ドラマ(1)

4月も終わりに近づき、新しいドラマも出揃ってきましたね。

みなさんはドラマを見始めるとき、何を基準に選んでいますか?

だいたいはメインの俳優陣、それか月9、日曜劇場といった放送枠。

詳しい人なら脚本家で見るドラマを決めているかも知れません。

ここでは、ドラマ中に流れるBGM、いわゆる「劇伴」を作っている作曲家を軸に2024年の春ドラマをいくつか見ていこうと思います。

【アンメット ある脳外科医の日記】【fox capture plan】

杉咲花の主演で今期の大本命ドラマとなっている『アンメット』。

この劇伴を担当しているのがピアノトリオバンドのfox capture planです。

fox capture planは劇伴の仕事も多く、カルト的な人気を誇る2017年の『カルテット』や長澤まさみ主演の人気作品『コンフィデンスマンjp』をドラマから映画まで手掛けています。

最近ではバカリズム脚本で話題となった『ブラッシュアップライフ』と『侵入者たちの晩餐』もfox capture planの演奏で彩られています。


直近では2023年冬ドラマの傑作ミステリ『ノッキンオン・ロックドドア』でSixStonesの主題歌をインストに編曲していたのが印象的でした。

fox capture planの劇伴はキラキラしたピアノの音色や勢いのある演奏が目立っており、『アンメット』第1話でも序盤で患者さんが救急車で運ばれてくるシーン、病院の仲間が居酒屋で集まってるシーンなどがわかりやすいと思います。

けれど、『アンメット』のすごいところはむしろ「無音」のシーン。BGMを過度に利用して盛り上げたり悲しませたりするようなことはなく、無音の中で杉咲花ら実力派を揃えた俳優陣の演技を見せる丁寧な演出が光ります。

大切なシーンほど無音になるのでfox capture planの劇伴も全体的に控えめ。それでも、杉咲花演じるミヤビが手術を決意するシーンなど、要所でバチっと空気を変えるメロディを用意しているところは10年に渡る劇伴制作の経験が活きているのかなと思います。

ストーリーもとても面白く、これからが一番楽しみなドラマです。

【アンチヒーロー】【梶浦由記/寺田志保】

劇伴担当を調べていて驚いたのが日曜劇場の『アンチヒーロー』です。

梶浦由記???本当に???

梶浦由記は『魔法少女まどか☆マギカ』『fate』『ソードアート・オンライン』といったアニメの超人気シリーズの音楽を手掛けており、『鬼滅の刃』も共作で参加しています。

が、ドラマの仕事はほとんどなく、NHKの朝ドラ『花子とアン』を2014年に担当した他は一本限りのスペシャルドラマがいくつかのみ。あとはNHK「歴史秘話ヒストリア」の音楽など。

ということでアニメを知らないと梶浦由記の名前にはぴんとこず。実際自分は『鬼滅』は知ってるけど『まどマギ』とかは通ってなかったので…

そんな中で梶浦由記がどれだけビッグネームか思い知らされたのがNHKが国外向けに企画している「NHK WORLD-JAPAN MUSIC FESTIVAL 2023」でした。

ゲストボーカルを何人も迎えた梶浦のステージは、梶浦がプロデュースしていたユニット、Kalafinaの曲などが披露され、壮大なスケールを感じさせる楽曲の中で声が繊細に織り重なってアレンジされており圧巻のひとこと。

というわけで梶浦由記が日曜劇場の音楽を手掛けるというのはもうそれだけで驚きなわけです。

『アンチヒーロー』では第1話のオープニングから梶浦節が効いており、裁判が進むにつれて音楽も全開になっていきます。

傾向的に演出過剰、演技過剰の色が強い日曜劇場ですが、それに負けじと主張してくる劇伴は必聴。

主題歌のmilet「hanataba」は蔦谷好位置のプロデュースですが、劇伴と主題歌で相性が良く連続性が感じられるのもポイントが高いです。


【夜のクラゲは泳げない】【横山克】

『アンチヒーロー』はアニメの大家がドラマを手掛けたパターンですが、こちらの『夜のクラゲは泳げない』は逆のパターン。

『夜のクラゲ』の作曲家の横山克はTBSドラマの代表作ともいえる2014年の『Nのために』や2023年の『最愛』を手掛けています。

実写映画版の『ちはやふる』などでも作曲をしていますが、個人的に強く心に残っているのが、横浜流星と清原果耶が共演した2022年の映画『線は、僕を描く』。軽やかに流れるピアノとストリングスはいちど聴いたら忘れられません。

ドラマと映画があまりに有名作品なのでどうしても目立たなくはなるのですが『ホリミヤ』など毎年アニメ作品もいくつか手掛けています。

今期放送される『夜のクラゲ』は元アイドルのシンガー志望の子が主人公ということで、劇中歌の作編曲も横山克の仕事。

アイドルソングという設定上かなりアニメアニメしてる(?)のでこの「カラフルムーンライト」は聴く人を選ぶ気はしますが、インストで編曲されたらとてもいいメロディになっているのが想像できます。

第1話ではアコギの弾き語りで歌われています。メロディの良さはこちらのほうがシンプルでわかりやすいかも。

ヨーロッパで録音されている劇伴。深夜アニメとは思えないくらい力が入っています。

物語の設定上、これからも新しく劇中歌や劇伴の役割は大きそうなのでこれからも楽しみな作品です。


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