Yuka Kato

翻訳者。note.では写真や執筆作品をぼちぼち投稿しています。

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    かねてから企画していた、私が撮影した写真に物語や詩などを付けていくという試みです。ちょっと難しいのですが、楽しんでいただけたら嬉しいです。

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電子書籍『藤の兄弟』を出版しました

短編小説『藤の兄弟』をKindleにて出版いたしました。 大正時代を背景に、少年の葛藤を描いた作品です。去年出版した『南天の枝/干し柿の味』に続いて再び日本近代文学風を狙いましたが、前作もよりストーリー重視な作品に仕上がった……と思います。ぜひ皆様にもお読みいただき、感想など寄せていただけるととても嬉しいです。 表紙は『ルーウィン』『南天の枝』と同様、友人のアーサー・ハットンさんに描いていただきました。また、出版に関する作業・手続きに関わってくださった福光潤氏に厚くお礼申

    • 愚か者の手

       私の手は醜い。指には無数の皺が寄り、肌理はこれでもかというくらいに粗い。年齢を考えると仕方がないのかもしれないが、ただ問題は、私の手が小学校中学年ぐらいからずっとこのようであったということだ。    我が家の両親は共働きであったから、私も幼いころから家事に参加していた。洗濯物の取り込みをし始めたのは幼稚園生のときからである。その後小学校中学年に上がると食後の皿洗いも担当するようになった。洗うのは私、拭くのは妹の役目だった。そうして私の手は、毎日毎日、水と洗剤とにさらされ

      • 「上位1%の人は○○をしている」を「上位51%の人は○○をしている」と取り違えて「え!!」と思ったり、「今すぐ参加しましょう」を「今すぐ参りましょう」と空目したり。夏の疲れはなかなか癒えません。

        • ポケットの中に入れたものが見つからないなと思っていたら、5分後に同じポケットから出てきました。一体何が起こっていたのでしょうか……?

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        電子書籍『藤の兄弟』を出版しました

        • 愚か者の手

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        • ポケットの中に入れたものが見つからないなと思っていたら、5分後に同じポケットから出てきました。一体何が起こっていたのでしょうか……?

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          Kindleで出した短篇小説『ルーウィン』の英語版『Llewyn the Cat』(下訳だけ自分でつけました)が、インドで読まれたと聞きました。嬉しいです。

          Kindleで出した短篇小説『ルーウィン』の英語版『Llewyn the Cat』(下訳だけ自分でつけました)が、インドで読まれたと聞きました。嬉しいです。

          何年も前、夜のロンドンを歩いていて「私は今異国にいるんだな」と痛感したのは、有名なロンドン塔やビッグ・ベンではなく、終業したオフィスのガラス窓から見える卓上の電話機を目にしたときでした。

          何年も前、夜のロンドンを歩いていて「私は今異国にいるんだな」と痛感したのは、有名なロンドン塔やビッグ・ベンではなく、終業したオフィスのガラス窓から見える卓上の電話機を目にしたときでした。

          ジェイク・リーの半時間

          何語なのか知らない歌を聴いている 真っ白な昼下がり 恐らく、悲しい歌だ 細かい意味なんてさっぱり分からない 分からないのにずっと聴いている 雨が降ってきそうだ さっき君の車が、出ていくのを見たような気がする   *   *   *    生まれてこのかた、出会う人間、向き合う人間の一人一人が私を採点しているように思えていた。まるでロボットのごとく完璧な採点者。その絶対的で完全無欠な彼らが、私の一挙一動を観察し、細かく点数をつけている ―― 容姿は言うまでもなく、知識、持ってい

          ジェイク・リーの半時間

          重曹を「軍曹」と空見するところだった。

          重曹を「軍曹」と空見するところだった。

          ラストオーダードーナッツ

          午後九時十七分、帰宅途中でローカル線上の最寄り駅に降り立った私は、ひどく空腹であった。三月も末という時分、小さな会社の経理担当として非常に忙しい日を送っており、終業後も何時間も残業をしていた。そんなことだから、昼食も夕食も、かろうじてという感じでとるしかなく、味なんかほとんど分からなかった。やっと業務が終わって退社し、何か腹に入れようと思ったが、我が会社の周りでこの時間帯で営業している飲食店は満席ばかりで、席が空くのを待っても構わないと思えるほどそそられるメニューもなかった。

          ラストオーダードーナッツ

          Into the Woods

          "Into the woods, heaven or hell, or faces of some pretty chicks, we try to seek for the truth. We don't find it there - the answer always lies within us. The problem is, however, that we know nothing about ourselves. We are a little univers

          Into the Woods

          春の風には弾みがある。(と思う)

          春の風には弾みがある。(と思う)

          植木鉢

           極々一般的な、築三十年ほどの、小さなアパートの三階。くすんだコンクリートの外壁を覆うのは、葉がほとんど落ち、息も絶え絶えといった様子の蔦。    そこの一室の、慎ましやかなヴェランダで、私はいくつかの花を育てている。大したものではないけれど。スーパーマーケットやホームセンターで安く仕入れてきた、日日草、フィエスタ、ゼラニウムなどの鉢を、ぽつぽつと置いて、おざなりに世話をしているのだ。それでも、これらの花が、一年を通じて代わる代わるに咲いてくれれば、私にとっては束の間の目の保

          宮城道雄の『春の海』を聴いていると、海というよりはお屠蘇の流れるせせらぎを連想してしまいます。皆様、明けましておめでとうございます!

          宮城道雄の『春の海』を聴いていると、海というよりはお屠蘇の流れるせせらぎを連想してしまいます。皆様、明けましておめでとうございます!

          何年か前、「『暖冬』と聞くとまっさきに富士山と蜜柑を想う静岡県民脳」などという自由律俳句を考えたものですが、最近ではスーパーマーケットの軒先に巨大な白菜と大根、そしてつやつやとした皮の蜜柑が置かれているのを見て、「穏やかな冬だなあ」とぼやいています。

          何年か前、「『暖冬』と聞くとまっさきに富士山と蜜柑を想う静岡県民脳」などという自由律俳句を考えたものですが、最近ではスーパーマーケットの軒先に巨大な白菜と大根、そしてつやつやとした皮の蜜柑が置かれているのを見て、「穏やかな冬だなあ」とぼやいています。

          冬の寒さに思うこと

          一、「腹が立つ」  冬の朝と夕方、ひどいときには日中にも吹き付けてくる風に、苛々させられることがある。それも、冬季に関東地方または太平洋側の地域で吹く「からっ風」ではなく、やや弱めにちょろちょろとしている冷風のほうが私の神経を逆撫でする。  何だかこう、プラスチックの下敷きや薄い紙束のようなもので顔の表面をぴしぴしと叩かれているかのように感じるからだ。しかも、それがまるで刺すように冷たく、ついでにしつこいから、そのしつこさにも腹が立ってくる。これなら、容赦なしに殴打してく

          冬の寒さに思うこと

          Alpha Shallows

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