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入院日記⑪ 愛のむきだしについて感想を書きたくて仕方がない日
おはようございます。入院生活もそろそろ終盤にむかっています。
抜糸がおわり、今週の金曜日に徐々に足に体重をかけていくリハビリが始まります。まあ退院後もしばらくリハビリに通うことになるわけですが……w
今日は自分のぐだぐだはどうでもいい!
今日は見た映画のことでたくさん語りたい!!!さっそくみた映画を紹介させていただきます。すっごい面白かったんだ、今日見た映画!!!
1.今日見た映画「愛のむきだし」
今日の映画は劇団・転機与砲に所属するザ☆ローリーくんからのおすすめです。
作品の上演時間はなんと約4時間。
見る体力が足りるかしらと心配したのですが、ただの杞憂でした。
『愛のむきだし』
— ザ☆ローリー/岡山で芝居する人 (@rolly1001) May 13, 2021
4時間あるけどノンストップで面白いので是非見て欲しい。
とにかく全ての要素において振り幅がすごい。レビューすらこの有様。 pic.twitter.com/oKszkcyUZC
【あらすじ】幼いころに母を亡くし、神父の父と暮らすユウは、理想の女性・マリアに巡り合うことを夢見ていた。しかし、父がある女に出会ってか父と子の生活は崩壊。だんだんと狂っていく日常の中、ユウは父との繋がりを求めて罪作りに没頭していく。そんな彼はある日、理想の女性ヨーコと出会うのだが……。
家族・宗教・共同体・変態・性愛・盗撮etcetc…この映画を構成するアングラ的要素の豊富さ。
そしてその要素を昇華させるための時間。
この映画の特徴はこの要素が最も大きい。
ハマれる人はハマって、あっという間の体感時間で見ることができる。ハマらない人には非常に苦痛な映画だろう。
ちなみに私は、ハマった側の人間だった。
とにかく、激しい。映画の中で起きる事象すべてが激しい。
性と愛と暴力がすさまじく吹き荒れていて、めまぐるしくドラマが進んでいく。
登場人物全員がちょっとおかしい。
一番おかしいのが、主人公のユウと、適役で登場するコイケ。
この二人だけが狂気を持っている。
他の登場人物は、自分がまきこまれた状況によって、人間性がだんだんと捻じれていく。
メインのキャラクターたちが、捻じれに捻じれて、対立したり愛しあったりするので、これを丁寧に描くためには4時間必要だと思った。
むしろ、4時間でここまでよく描いたなぁ……とすら思う。
この映画は要素が多いので、のテーマは複雑なように見える。
けど実際は非常にシンプルなテーマだ。
"Give it Me"
この一言だと思う。それぞれのキャラクターによってitに当てはまるものが違うだけで、この映画に出てくるメインキャラクターはほぼ全員、与えてほしいと願っている。
主人公のユウは、自分でitを求めて行動を起こしていく。
itが父母の愛であったり、itが共同体からの受容だったり、itが性的な興奮であったり、itが理想の女性であったり、itがヒロインからの愛であったりする。
与えてほしいitが次々に変化していくのは、成長の証といえる。
この映画はただのアングラ映画でも、下ネタ映画でもなく、人の精神的な成長を無茶苦茶なシチュエーションを使うことで描き切った怪作だと思う。
あえて現実的なファンタジーを取り込むことで、「人間として普通に生きている姿」が際立っているように感じた。
成長物語であると同時に、これは「愛の物語」である。
神の愛、父母の愛、家族愛、性愛、パートナーへの愛。
この世のありとあらゆる愛が映画の中で表現されている。
そしてその愛が持つ暴力性もきっちり描いている。
露骨だろ、やりすぎだろって思う箇所は、その愛が持つ2面性を強調するためにやってるのかなぁと思う。
愛がもつ美しさと暴力性を、一気に描いているので、やはりこの映画は4時間かかると思った。
この愛の中の1つのテーマに絞って、それを「正当化」するか「否定するか」というスタンスを選んでいたら、たぶんこの映画は90分で済む内容だった。
けれど、人間が成長していく過程と、ありとあらゆる人間界の愛を並べてそれを否定しながら正当化していくので……。
やっぱりこの作品は、この時間になるだろうなーと思うのである。
膨大な要素を含みながらも単純なテーマを4時間かけて描いた本作は、俳優陣の演技力に支えられている。誰のどの演技がよかったとか、言葉にしきれないほど膨大だ。
「愛のむきだしでどのキャラが一番好き?」とか聞かないでほしいと思うくらいに、それぞれのキャラクターが別ベクトルの魅力をもっている。
R-15指定だが、この暴力性を受け止めて昇華させるためには、20歳以上になってから見ることをお勧めする。
あなたがもし、世の中には綺麗なものと、汚いものがある。この世には正義と悪の2種類の存在がある。
……という2極論の世界であなたがもし生きているのなら、この映画は決してお勧めできない。
美しいと汚いがはっきりわかれた映画を見るべきだと思うから。
この映画をお勧めできるのは、物体には光と影があり、1つの物事は見る角度で美しくも汚くもみえる。善も悪も見方と視点と、主観の違いで変化していく。
それを知っている3D的価値観の人には、この映画はぜひおすすめしたいと思う。
Amazonプライムで48時間400円で見られる怪物作だ。
是非、お時間があるときにこの作品に触れてみてほしい。
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