東京おのぼり旅日記②~溜池山王編つづき~
↓前回はこちら
これは、創作大賞授賞式のその後を書いた、汗と冷や汗の旅行記である。
↓授賞式レポはこちら
◇
果てしない大冒険(15分)の末、ようやく集合場所の溜池山王駅7番出口に到着した。がらんどうの駅構内は、にぎやかの抜け殻みたいでなんだか寂しく見えた。とりあえず、トイレで用を足した。芯がないタイプのトイレットペーパーって、最後の方ちょっと使いにくいなぁ。
(主に腸内の)体制を整え、万全を期して待ち人を待つ。ほどなくして、「アルロンさんですか?」と声をかけられた。
顔を上げると、オシャレバッグとカメラを引っ提げた快活そうな女性が。
この人こそ、会う約束をしたフォロワーさんの、にうさんだ。
前夜の授賞式を除けば、noteのフォロワーさんと会うのは初めてとなる。嬉しい反面、体くさくないかな、息くさくないかな、と少し挙動不審になったかもしれない。にうさんが顔をしかめることはなかったので、たぶん大丈夫だと思うが。
とにもかくにも、にうさんとともに(むしろ連れられ)僕は日枝神社へ向かった。
道中、首相官邸が見えた。選挙時期(投開票日の前日)かつ突撃事件が起きたばかりだったので、警察官がちらほら。記念にパシャリすると、遠くから警察官Aがツカツカと近づいてきて、めちゃくちゃ焦った。
ア「しゃ、写真はダメでしたか……?」
警「いや、それはいいんですけど、最近ヘンな人多いんで」
に「あ、この人おのぼりさんなので大丈夫です~」
というやりとりがあった。軽い職務質問を受けたわけだ。人生初の職務質問が首相官邸前でなんて、ずいぶんと稀有な経験じゃあないか。お巡りさん、余計な仕事を増やしてごめんなさい。
◇
そそくさと首相官邸から離れ、お目当ての日枝神社へ。
日枝神社は鳥居が特徴的だった。色が白く、上の方がなんか三角の山みたいになってる。バカみたいな説明で申し訳ない。語彙力の勉強がんばります。
鳥居をくぐり(もちろん礼をしてから)、アスリートが何往復もしそうなほどの長い階段をよっこらせと登り、ふうふうと息を吐きながら本殿へ(幸い、仕事で登り坂を歩くことが多いので、意外とつらくなかった)。
境内は、さほど混雑しているわけではなかったが、結婚式や七五三などが行われており、慎ましくもおめでたいムードに包まれていた。
手水で心身を清め、お参りに向かう。
日枝神社には狛犬がおらず、代わりに狛猿(神猿)が奉納されている。「まさる」の語呂が「魔が去る」や「勝る」に通じ、「猿」が「縁」に掛かっているということで、商売繁昌、厄難消除、良縁のご利益があるらしい。あと、猿は群れを大切し、子宝に恵まれ安産であることから、家内安全、子授け、安産にも良いのだとか。
ちなみに、後から知ったのだが、日枝神社には「まさるくん」という公式キャラクターがいる。セクシーコマンドーは関係ないんだろうか。関係ないんだろうな。
賽銭箱の前までやってきた。財布から5円を取り出し、逆ドラフト会議的に箱の中へ入れる。
二礼二拍手、心の中で「創作大賞2025でメディア賞を受賞する」と3回くらい唱え、一礼。ちょっと流れ星感あるけれど、神様にはこれくらいの熱量ぶつけといた方がいいと思って。
神様に願いを伝えた後は、授与所へ。
にうさんに「お先どうぞ」と言われて前に進んだはいいが、持ち前の優柔不断を遺憾なく発揮し、巫女さんに「お決まりの方、お先にどうぞ」と言わせてしまう始末。結局5分くらいウンウン唸って、「祈願成就の御守りってどれですか?」とIQの低すぎる質問をしてしまった。巫女さんも「あ、えーっと……」と明らかに困っているではないか。このようになんやかんやありながらも、肌守(御守りの中身)と守袋をカスタマイズできる御守り(全体的にご利益があるやつ)をいただき、おみくじを引いた(この間、にうさんはとっくに自身の用を済ませている)。
おみくじは2年ぶりに引いた。前回は北海道神宮で、なんと大吉だった。2回目の退職をした頃だったので、再起を図るのに幸先がよかった。今回はいかに。
日枝神社のおみくじは、M-1決勝戦の順番を決めるやつと同じタイプだった。両手で大事に抱え、からからとシェイクし、出てきた棒の番号を伝える。心の中の上戸彩が「31番で~す」だってさ。
で、結果は大吉だった。
にうさんが横で「やっぱ持ってるわ~」と感嘆した。
◇
神社を後にした我々は、近くのスタバに入った。
時刻は午前9時半。そこそこ人は入っていたが、すんなりと席に着くことができた。にうさんがコーヒーをご馳走してくれた(姐さんと呼ばせていただきます)。
コーヒーを啜りながら、にうさんとおしゃべりした。
noteのこと、仕事のこと、自分の考え方や人生観など、割と真面目な話が多かったが、堅苦しくなく終始楽しい時間となった。
途中にうさんが「どうしてそんなに真面目なの……」とちょっと泣いてしまい、僕がパニくってあばばばばとなったのも今やいい思い出(まだ一週間しか経ってないけれど)。
にうさん、話を聴くときにメモを取っていて(事前に断りを入れるあたり、とても好感が持てた)。なんでも、心に響いたワードなんかを書き留めているそうだ。僕の話にそんな素敵ワードがあるのか疑問だったのだが、だれかの普通はだれかの特別だしなぁ。「言葉は見えざるメス」とか「都会は巨大ジオラマみたいだ」とか。深い意味がなさそうでありそうでなさそう。
夢中でしゃべってたら、あっという間にお開きの時間となった。(姐さんに「ご馳走様です!」と頭を下げ、)おみやげに商売繁昌のステッカーをいただき、来年のこの時期にまた再会することを願いながら、我々は解散した。
「来年はお礼参りですね」と。
↓にうさんの記事はこちら
(続く)