熱海の伊豆山の思い出（その１）
熱海の伊豆山には二つの縁がある。一つは私の勤め先の会社の保養所が熱海の伊豆山にあり何度も何度も利用したことだ。
正確には会社の親会社の保養所で、利用の際には申請用紙を親会社までFAXする必要があり、申請してもそこから抽選があり、当選すれば希望日に宿泊できるというシステムだった。
しかし非常に厄介なのが、その申請書を出すためには上司の判子をもらわなければならなかったのだ。「遊びに行きますから認めてください」と言わんばかりのこの申請書を頻繁に出すのはためらいがあったが、それでも結婚当初は安いお金で行ける旅行といえば会社の保養所しかなかったので、かなりの頻度で利用した。私が会社で一番利用していたと思う。私の両親と行ったこととある。
景色も食事も温泉も素晴らしい保養所だったが、面白いことに館内に「シアタールーム」があって、大型画面と大音響でDVDを観賞することができた。DVDの持ち込みもOKだったので、当時流行っていたアメリカのドラマ「24 -TWENTY FOUR」のDVDをたくさんレンタルして持ち込んで、一日こもって楽しんだこともあったっけ。
その保養所は永遠に続くと思っていたが、わずか数年で保養所自体が無くなってしまった。噂では温泉設備が故障して、修理するには多額のお金がかかるが、結局修理せず売却する道を親会社は選んだようだ。親会社は他にも数カ所保養所を所有していたが、立て続けに手放してしまい、そういう福利厚生は綺麗サッパリ整理されて無くなってしまった。
親会社の持ち物ではなくなった伊豆山の保養所だけど、伊豆山を訪れるたびに、車で前を通っては建物の確認をしていたが、しばらくは閉鎖されていたものの、その後別の企業の所有物になったようだ。
関西育ちなので、関東の観光地を知らなかったということもあるが、熱海の伊豆山はなかなか思い入れのある土地になり、数年後に妻と一緒に伊豆山で物件探しをすることになるのだ。そして、一時期は週末のたびに伊豆山と都内とを行き来する生活をしていた。
二つ目の縁については、そのうち書くかもしれないし、書かないかもしれない。
