シンスプリントの病態を理解-危険因子と運動療法アプローチ-
今回のテーマは「シンスプリントの病態を理解-危険因子と運動療法アプローチ-」になります。
こちらの記事を最後まで読むと
今回の記事は『シンスプリント』についてです。
シンスプリント(脛骨過労性骨膜炎)は、ランニングやジャンプなどのスポーツや身体活動によって引き起こされる一般的な下肢の疾患です。この状態は、ランナーやスポーツ愛好家だけでなく、一般の人々にも影響を与える問題です。
シンスプリントは、脛骨の内側に痛みを引き起こし、運動中や活動後に特に顕著になります。痛みはしばしば圧痛や腫れを伴い、繰り返し行われる運動によって悪化することがあります。このような症状は、日常生活やスポーツ活動において大きな制約をもたらし、パフォーマンスや生活の質に悪影響を及ぼす可能性があります。
セラピストは評価を通じて痛みや機能障害の原因を特定し、適切な治療アプローチを立案することが求められますが、解剖学の理解や病態の理解が乏しいとなかなか効果的な治療を提供・処方することが難しくなります。
シンスプリントってなに?
シンスプリントのメカニズムは?
この辺りの部分を共有していきます!
では始めていきます!
シンスプリントの定義
シンスプリントは、
運動によって引き起こされる脛骨後内側の疼痛を指します。虚血性の症状や疲労骨折による疼痛は除いた状態です。
臨床でも体験談でも脛骨内側の疼痛があるといわゆるシンスプリントがパッとイメージすることができます。
世間的にも【シンスプリント】という名称が浸透していますが、正式名称は少し異なります。というのは、シンスプリントは状態を表した名称であって、特定の病態を示すものではないです。
シンスプリントの正式名称
正しい名称はMTSSと言われます。
それぞれの英語の頭文字をとってきて、MTSS(内側脛骨ストレス症候群)というのが正式な名称になります。
ここまでは雑学的な部分であるため、早速本題に入っていきます!
疫学
どういう人に多いのか
長距離ランナーや着地動作が多い競技スポーツに多く、ランニング障害の13%を占めていると報告されています。
MTSSは一般的なオーバーユース(使いすぎ症候群)の一つであり、ランナー以外にもサッカーやバスケットボールといった競技スポーツにもそのような症状を訴える患者は少なくはありません。
ここで考えておかないといけないのは、なぜMTSSというオーバーユースが生じるのかといったメカニズムの把握です。
このメカニズムを把握しておくことで、MTSSへの治療アプローチの幅が広がり適切な治療を提供することができると考えています。
性差
MTSS(シンスプリント)の性差は、女性に多いとされています。
女性の発症リスクは男性と比較して1.7倍であると報告されています。
女性アスリートの場合は、相対的なエネルギー不足(RED-S)・無月経・骨粗鬆症といった3大徴候があります。
相対的なエネルギー不足(RED-S)は、健康、日常生活、成長および運動活動に必要なエネルギー消費が日常の食事によるエネルギー摂取を上回った為に生じるエネルギーが足りなくなった状態をさします。つまり、運動で消費するエネルギーに見合った食事(エネルギー摂取)が出来ていないということです。この状態が続くと、卵巣を刺激する脳からのホルモン分泌が低下し、骨代謝などを含む身体の諸機能に影響を及ぼすと考えられます。
場合によっては免疫、月経機能、骨の健康、内分泌系、代謝系、血液、成長発達、メンタル、心血管系および消化器系に影響し、慢性的になると健康とパフォーマンスにまで影響を及ぼすリスクがあります。
思春期の女性であれば、異常な体重コントロールや食事未摂取なんてこともよくあります。それらが関連していることも考えられます。
臨床症状
代表的な症状としては、
シンスプリントについてはWalshら(1990)による疼痛Stage分類が臨床で使いやすいです。
患者の中にも練習時間が短くてメカニカルストレスの頻度が少ない場合で症状が発生する患者や、練習時間が長くメカニカルストレスの頻度が高い場合に発症するケースとさまざまです。
動作の所見と症状を組み合わせて治療アプローチを考えていきましょう!
ここからはMTSSになりやすい身体的要因について共有をしていきます。
代表的な危険因子としては…
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