
今も残る友達の言葉
高校受験をそろそろ考えなくてはいけない中学生の頃のお話し。
『音楽科がある高校があるの知ってる?』
部活が一緒で、仲良しの女の子が教えてくれました。
テストで万年一位を取る、とても頭のいい女の子でした。
『そこに行けばいいよ!あなたなら行けるよ!』
彼女が教えてくれた高校は、成績が良くないと入れないとこでした。
親戚がその高校の講師をしているとかで、紹介までしてくれました。
(結局は行きませんでしたが)
私達は合唱部で一緒だったので、ちょっとした隙間時間に、
『ねぇねぇ、あれ弾いて~』
と可愛らしい声でいつもリクエストをくれる、とってもチャーミングな女の子でした。
『あなたはピアニストになれるよ!』
『あなたの音色が好き』
いつもいつも、そんな嬉しい言葉をかけてくれた優しい女の子。
彼女は私と違って、いつも穏やかで思慮深い人。
そんな彼女がある時言いました。
『私がテストで学年一位を取ったところで、いつか誰かに取って代わられる。あなたの音楽は誰にも取られないし、誰に取って代わられることはないんだよ』と。
中学生といえばまだ13~15歳。
今考えても、本当に大人な人だった。
今、彼女はどうしているんだろう。
大学生になったとき、彼女に偶然電車で再会しました。
『○○大学に受かったんだけど、やっぱり名大に行きたくて浪人することにしたの』
『さ、さすがだね…』
あれからさらに時が経って、大学も卒業して、環境変わって電車に乗ることもなくなり、
彼女とは一度も会っていない。
電話で話すこともない。
彼女が想像してくれたクラシックのピアニストにはなっていないし、
あの頃とさして変わらないピアノだけど…
私は音楽をやって暮らしてるよ…
彼女の何気ない言葉が、今も私の心に残っています。
振り返ると、いつも私には勇気づけてくれる人が側にいてくれました。
だから今も続けて来れたのかな、と感謝しています。
いつか彼女と再会出来たら、ライブで生で聴いて欲しいなぁ。
高校受験をそろそろ考えなくてはいけない中学生の頃のお話し。
■アレンジセッション
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