『海のはじまり』11話感想~俺がいるから
テレビドラマのセオリーとして、最終話の1話前って「えええ!これってどうなるの(泣)」という展開になるのはよく分かっているんです。
西園寺さんもルカちゃんいなくなっちゃったし(みんなで幸せになれて良かった!)、青島君も『え!?死んじゃった!?』ってなったし(生きててよかった結婚おめでとう)。
でも海のはじまりって、今のところどうしてもこうなってほしいっていうのがない……もちろんみんな幸せになってほしいのは大前提だけど、どうしても夏くんと海ちゃんが一緒に暮らしてほしいわけでもないし、海ちゃん南雲家に戻ってもいいと思ってるし、夏くんと弥生さんがまた一緒になってほしいわけでもないし、一緒になるならそれでもいいし、弥生さんも3人で暮らすならやってみたらいいと思うし、みんながそれぞれ好きな道を選んだらそれでいいと思っている、ある意味全員正解がなさすぎるから、いったん落とす展開ってどうするんだろうなあ、とは思っていたんです。
が、いやあ、これまたとんでもない角度からすごいのがきましたねえ……。
辛いというか、もう墨を飲んだ気持ちですよ。
思えばsilentの時も最終回前に想くんが『紬の声が思い出せない(涙)』とか言い出して、えええそれは誰にもどうにもしてあげられないって胸がつぶれるような1週間を過ごしたのに、『声は思い出せないけど言葉が見えるようになってよかった』って着地して、ええ、そうなの!?それでいいの!?そっか想くんがそれでいいんなら良かったってなったので……
誰にもどうしようもない問題を最後に提議するのが生方先生のやり方なのかもしれないな、そしてふわっと着地させるのかもなって思いつつ、
いやそれにしても打ちのめされました。
もしかしたら制作陣はここまで視聴者が分断していがみ合い、水季が悪い、いや夏も悪い、いやいや南雲家が、いや弥生も、そもそも悪者探しじゃないでしょう?って叩き合いヘイトを集める事がバズってしまうとは思ってなかったのかもな?とは思うのですが、でもやっぱりある程度世間がこうなるのは予想できていたと思うので、
ここまで視聴者の不満や自論や愚痴を溜めて溜めて、ここで唯一誰も文句を言えない1ミリも何も悪くない海ちゃんに純粋な気持ちで意趣返しさせる展開が本当に“効いて”いて、生方先生すごすぎて舌巻いちゃう……。
最初、このドラマが始まる前にみんなが思った「え、それ男が何も知らないって無理じゃない?」「やっぱり男ってやって終わりだもんな」「結局全部引き受けるの女じゃん」っていうのを、
今夏くんに全部背負わせることで今一度男性の責任を問うてるのはよく分かるんですが、が、それにしても。
ドラマが始まる前に書いたnoteに、予期せぬ妊娠でケアされるべき水季は死んじゃって、夏くんにスポットライトが当たるの危なくない?という事を書いたのですが。
やっぱり普通に考えて、男性の責任を問わずにこの物語が展開するのって難しいよなあ、しかも視聴者は目黒くんのファン層が多いだろうし、
その中で女性に寄り添わずに夏くんを悪者にしないってどうするんだろうとは思ってたけど、なるほどそうきましたか、と。
しかも夏くん、ずっと誠実だからほんとにどこでどうすれば良かったのか、って夏くんと一緒に頭抱えちゃうよね。
あとシングルマザーの物語をシングルファーザーでやりたかったのも分かるんだけど、ああやっぱり苦しいなあという回でした。
前置きが長くなりましたが。11話感想文です。
この文章は考察でも正しい感想でもないです。
私の誰か一緒にお話しよう~!私はこう思ったけどどう思ったー?という文章なので、軽い気持ちで読んでいただけたら嬉しいです。
※鍵括弧内は全てドラマ『海のはじまり』からの引用です。
水季ちゃんの部屋でママの事思い出してる海ちゃん。
寄り添う朱音さん。
ママきゅうり食べなかったんだよ!とか、水季ちゃんの話をしつつ海ちゃんの気持ちを明るく変えてあげられる朱音さん、素晴らしい……。
やっぱりばあばってすごいなって改めて思ったシーン。
海ちゃんも夏くんと住むって決めたけど、でも夏くんと住みたいのと同じくらいそこにもいたいんだもんね。どうしていいか分からないよね。
夏くんの物であふれた部屋(笑)の片づけを手伝ってる大和くん。
「困ったことあったらなんでも言ってね」
大和くん優しい。
「大丈夫、2人でがんばる」
夏くん、先週の男前先輩の話聞いてた!?
自覚とか責任とかそんなんでは子供は育たないんだよぉ。
なんでこう、2人でって肩に力入っちゃうんだ。
うん、ありがとうで済むような会話だと思うけど、相手が大和くんだから逆に“本心”が出たのかもなあ。
弥生さんとも別れたし、南雲家から引き離したんだし、各方面にちゃんとしなきゃって思う気持ちも分かる、分かるけど。
引っ越してきたよー、って海ちゃん連れてご飯食べにすぐ月岡家行きなよ……。
小学校でお別れ会やってもらってる海ちゃん。
先生にママ、海の事なんか言ってた?って聞いちゃう。
ママの話聞きたいんだなあ。
夏くんの部屋に海ちゃんが一緒に暮らすためにやってきます。
翔平さんと朱音さん、海ちゃんとぎゅーってして海ちゃんを預けていく。
それを見て何か思うところありそうな夏くん……。
そんな夏くんを見て「ぎゅーってしよっか?」って海ちゃん。
大人の事よく見てる。
翔平さんと朱音さんのシーン、ここ朱音さんが車乗ろうとする前に翔平さんがリモコンでドア開けるのなんか好きだった!笑
さすがの気の利き方!こういう夫婦の日常みたいなの入れてくれるの好き。
やっぱ夫婦っていいよなあって描写してくれるのに、主役の世代にはこういう気持ち抱かせてくれないの、厳しい。人生って厳しい。
夏くんの部屋で荷物片づけてて、これママに作ってもらったとかこれママとお揃い!って夏くんに話してる海ちゃん。
「夏くんは?ママになんかもらった?」
「たぶん別れた時、捨てたと思う」
ねえええーーーーー!夏くん!!!デリカシー!!!
分かる、夏くんだって聖人君子じゃないからうっかり失言しちゃうこともある。そりゃそう。誠実さとデリカシーは共存しにくいのも分かる。
でも、やっぱり、夏くんと一緒にいて、海ちゃんちょっとずつ淋しさが溜まっていっちゃったんだろうなって思う。
夏くんだって大変じゃん!とも思うけど、でもこの状況作ってるの当の夏くんだもんなあ。あああ。
「弥生ちゃんにもらったの、捨てなきゃだめ?」
海ちゃん、付き合うとか別れるってちゃんと理解してるもんね。
津野くんとママも付き合わなかったもんね。
弥生さんが涙拭いたイルカのパペット、
「これ弥生さんから。持ってていいんだよ。今度お礼言おうね」
って海ちゃんに渡す夏くん。
楽しい方に話題変えるパペットあってよかったね!夏くんも今度お礼言おうね!
夏くんと一緒に寝ても、一緒に図書館行ってもなんか違う気がする海ちゃん。ママと来た事ないもんね……。
新しい小学校見て不安そうな海ちゃんに
「次の学校は俺が一緒だから。最初の日も朝一緒に行くし、大丈夫だからね」
「ママいないけど?」
夏くん、夏美先生のお話覚えてるかな……。
「いない分、がんばるから」
「うん」
夏くんの受け答え、すごく当たり前な気がするんだけど、海ちゃんはそういうこと言ってるんじゃなくて。でも夏くんが理解するのは難しくて。
あああああ難しいな。
南雲家で朱音さん、
海ちゃん洗濯物干すの手伝ってー!って思わず言っちゃって、
「はーい、僕やりますよぉ」
って翔平さん言うの可愛かった。
でもここから朱音さんの気持ちのフタが開いてしまって。
海ちゃんがいた事で気が張ってたとこもあったんだろうな。
キッチンに座り込んで泣いちゃう……大竹しのぶさん素晴らしいお芝居です……しかもそこに海ちゃん来ちゃってびっくりしちゃって。
「海いなくて淋しかった?」
「海ちゃんいなくなって水季がいない事まで思い出しちゃった、2人分淋しくなっちゃったの。でも大丈夫、今海に会えたからもう平気」
「ママはもう会えないよ」
「ねえ、困っちゃうね」
2人とも淋しいね。困っちゃうね。
海ちゃんの小さな心がどんどん悲しくなっちゃうね。
夏くんの部屋でまた寝る準備してて。
ふとピンクのイルカさん取りに行った海ちゃん。
今までママの青いイルカと弥生さんにもらったピンクのイルカ、一緒にしない方がいいって気遣ってたのかな……。
「夏くんスマホ貸して」
って、弥生さんに連絡したんだ、海ちゃん。
夏くんと2人の生活になって、おばあちゃんの悲しそうなところも見ちゃって、なんか胸がざわざわして弥生さんに会いたくなったの、分かる。
海ちゃんと弥生さん、一緒に髪切りに行って、なんとここで夜々ちゃん登場!
シェアードユニバースだ!
夜々ちゃんお元気そうで何よりー!
夜々ちゃんはそうだよね、2人の関係聞かないし、お友達なんだ!どこ行くの?って聞いてくれるよね。
その後弥生さんとお茶して(可愛いカフェだし美味しそうなケーキだし、さすが弥生姉さん!ちゃんと友達扱いしてくれるの海ちゃん嬉しいだろうな)、海ちゃん弥生さんにママの話していい?って。
うん、してして!ママの事教えてって、ママにならなきゃって気負ってた弥生さんじゃなくなってからの弥生さんって本当好き。
弥生さんも水季ちゃんの名前に胸がチクチクしてた時は(もちろん優しくしてあげてたけど)苦しい気持ちにもなっただろうし、別れて良かったねえ……涙。
そこで何かを察する弥生さんんんん。はあ、好き。
海ちゃん送っていって夏くんだけ外に呼び出して。
「海ちゃん、ママの話していいの?ってわざわざ聞いてきて」
「ああ、ここ別れたの自分のせいって気にしてるみたいだから」
自分と弥生さんのこと“ここ”と表現する夏くん。
「うーん、その感じは前もあったけど、ママの事忘れたほうがいいとか言ってないよね?」
「うん、そんな事言わないよ」
言ってない、言ってないけど、忘れた方がいいのかなって(それは健全なことではあるんだけど)海ちゃん思っちゃうのも分かる。
「だよねえ、なんだろう、元気は元気なんだけど水季さんのこと前よりわーって話す感じあったからちょっと気になって」
夏くん間違ってないんだよ、間違ってないし、それもあるんだけどそうじゃないんだよ……。
夏くん、三つ編みできるようになって……る!?笑
ちゃんときゅってできるようになってるけど、帰るころにはほどけてきちゃってて、夏くんのギリギリのがんばりが見えて切ない苦しい。
そんで海ちゃんその家で鍵っ子するのね!?
この日は早く帰らせてもらえるのかもだけど、夏くんの帰りっていつも遅いだろうし、いったん月岡家に帰ったりするのかなって思ったりしたけど(実家からも大学通えるって言ってたから近いのかな?って)、いやそうなんだ……。
じゃあせめてオートロックの家に引っ越そうよって誰も言わないのか、そうなのか。
海ちゃん帰ってきておなかすいたりしないかな。夏くん、朱音さんみたいにジュース冷蔵庫に入れてくれたりしてないだろうなあああ、あああ心配。
水季ちゃんと暮らしてた時も海ちゃんお留守番してたと思うけど、大家さんもいい人だったし図書館もあったしね。
月岡家行く練習とか、大和くんの電話番号とかっていうか、この家きっと固定電話ないよね!?わーんやだやだ!
いやこれはドラマだからね。うん。
ほらーもう海ちゃん1人で帰ってくるの涙出ちゃう。
なんかね、1人で帰ってくると知らないおうちみたいに思えるよね。
「ママいないの?」とかお友達に言われちゃって。ううう。
あー良かった、夏くん帰ってきた!私までほっとしちゃう。
料理してる夏くんにずっとくっついてお話してる海ちゃん。
ズボンにぎにぎしてて可愛い……。
「あとは?」「あとは?」って聞いてあげる夏くん。
「ママいないのって聞かれた、なんて答えればいい?」
ここ、ちゃんと火止めて向き合うの夏くんらしくて良かった。
「ママいないけど、パパがいるって言えばいいんだよ」
「俺がいるから」
「うん」
そうなんだ、そうなんだけど。ううう。
夏くんもママの代わりになろうとしてるわけじゃなくて、2人で一緒に乗り越えようとしてるんだけど、そもそも海ちゃんは乗り越えようとか思ってなくて。
水季ちゃんがいないことに海ちゃんが慣れていってほしいと思う夏くんの気持ちも分かるしなあ。
水季いつも一緒だよ、なんて気休めを言わない夏くん誠実だけど、余計に現実にいないことが現実としてのしかかってくる……。
寝る前に淋しくなっちゃった海ちゃん。
「夏くん!」
ってぎゅーしてもらって。
「ママは?ママいたのにいた感じしなくなっちゃった」
「海ちゃん水季が亡くなったことは分かるんだよね?」
「うん、死んじゃったのも分かってる」
ここ、確認するの夏くんらしい。
ちゃんと聞いて、確認して、最適解を探そうとしてる。
「おばあちゃんちより1人でいる時間長いから淋しいよね、ごめんね。思い出して淋しくなるなら無理に水季の話しなくていいからね」
「ママはいない人なの?」
「俺はいなくならないから2人でがんばろう、ね」
夏くんの言ってる事も分かるんだよー、分かるんだけど。
もうこの、丁寧に丁寧に積み重なっていく誰が悪いわけでもない“すれ違い”苦しすぎる。
夏くんは思い出したら淋しくなると思ってるけど、
海ちゃんは思い出さなくなる(感じられなくなる)ことが淋しくなると思ってる。
淋しいへのアプローチが違う2人、分かり合えるのかな……。
そっか、海ちゃん、歩道橋がトリガーになっちゃったんだ。
小田原ののんびりした歩道橋とは違う、いっぱい車も走ってる大きな歩道橋、それでも水季ちゃんの声が聞こえた気がしちゃう。
海ちゃんがいなくなった部屋に帰ってきた夏くん、もう夏くんの心臓のバクバクまで伝わってくる。
焦るし、怖いよね、1人じゃ抱えきれないくらい。
海ちゃん、津野くんのとこいて良かった!
津野くん連絡してあげなよって思ったけど、
「もしかして家出でした?」
「良かったです、いるなら」
「すいません、送ってもらったって言うから信じちゃって」
これ海ちゃん嘘ついたの本当かな……。
騒ぎに巻き込まれてる南雲家のみなさんと月岡家のみなさん。
「一緒にいた場所に行きたがるんだよね、いないのは分かってても」
「なんだろうねあれ、いたって実感したいのかな」
ゆき子さんと和哉さんの会話が優しい。
「夏くんから電話きたよ。お迎えくるって。新しい学校がやだ?家がやだ?」
津野くんいてくれて良かったよ。
「ママがいた場所行けなくなっちゃった」
「うん、そうだね」
「ママがいた話すると夏くんママいないって言うの。海もいないのは分かってる」
「そうだね」
「津野くん、ママいたの分かるよね?」
ああ、ここで津野くんと比較されちゃうんだ……。夏くん、つらい。
「分かるよ、一緒にいたから」
「夏くんわかんないみたい、水季はもういないから2人でがんばろうって、水季の話しなくていいよって。ママのこと忘れたほうがいいの?もういないから」
これを夏くんにはうまく説明できない海ちゃんも分かるし、津野くんが説明なしに分かってあげられるのも分かるし、夏くんが実感できないのも分かる。
うううう全員分かるけどでもだからどうするのが最善なのか分からない……。生方先生の真骨頂。
大慌てで図書館に駆け付ける夏くん。
日が暮れてるのが切ない。
きっともう営業終了してる図書館、ちゃんと外出て対応してくれる津野くん優しい。え、もしかして待っててくれたんかな。優しい。
でも先に朱音さんが迎えに来てて。
(そ、それを誰も夏くんに連絡してあげてないのかーーーい)
「もう2人なんだから」
水季ちゃんの話するの気を遣っていたであろう弥生さんもういないんだからって事まで考えが及ぶ津野くんすごすぎん?
「今こそ前みたいに水季水季ってうるさくていいんですよ。海ちゃん、いるいないの話してないですよ。分かります?いるとかいないとかの話してるの月岡さんだけです。いたとかいなくなったって話してるんです」
あああ、飲み込めない夏くん。
「わかんないですよね、南雲さんがいた時もいなくなった時もお前いなかったもんな」
はああ、圧倒されちゃう夏くん。
「すいません、お前とか言って」
謝るの早くてかわいい。
「海ちゃんが自分でおばあちゃん家行きたいって。月岡さんが迎えに来るって言ったんですけど」
あああああ、また夏くんの心臓のバクバクが聞こえてきそう涙。
そうか、それなら誰も夏くんに連絡しないか……。なんてこった。
「ご迷惑おかけしました」
絞り出すような夏くんの声が、はあああああああ、つらい。
ここで俺だって知るすべがなかったんだよと言えない夏くん。
でも津野くんもそうやって踏み込んでくるの綺麗ごとだってちゃんと言ってるし、それでも知りたいって踏み込んでいったの夏くんだし。
なんていうか、全員ちゃんと一貫してその人を生きているだけでその人の思いがあって、どの人の気持ちも分かるだけにつらい。
南雲家に帰ってきた海ちゃん。
水季ちゃんの写真に「ママ、ただいま」って。
水季ちゃんの回想。
やだよねえ、泣いてしまうこんなん。
「海が淋しくならないようにこれあげる」
『くまとやまねこ』の絵本。
「まあ、淋しくなる時は絶対あるんだけど、でも海はママがいなくても他の誰かと生きていくの」
「ママじゃなきゃやだ」
「今度これ読んであげる、おっきくなるまでに何回も読んでちょっとずつ分かるようになってそれからママがいなくなっても大丈夫になるから」
「いなくならないって言った」
「いなくなるの、でも一緒にいたことはなかったことにならないよ」
そっか、いなくなっても一緒にいるからってそういう事じゃないんだなあ。
一緒にいた事はなかったことにならないって言われてたら、やっぱりいないって事にならないかもなあ、でも夏くんが理解するの難しいよな、この理屈……。
これはあの、言うのは野暮だとは思いますが、今こそ水季ちゃんの手紙読んだらいいんじゃないかな、夏くん。
南雲家に来た夏くん。いろんな気持ちで破裂しそうになってるの伝わる。ううう。
どうぞ、って朱音さん優しい。
「会いたくないのかって聞いたら違うって。だから、どうぞ」
夏くんのせいじゃないって分かってくれてる朱音さん。
水季ちゃんの部屋で『くまとやまねこ』読んでる海ちゃん。
「その絵本、好きだね」
ああ、どこまでもズレちゃう夏くん。
私たちはさっきの回想シーン見てるから、そういう事じゃないって分かるけど、あああ、胃がぎゅっとする。
「何回も読んでって、ママが」
「そっか」
「何回も読んだけど、まだ大丈夫じゃない」
「分かんないとこあるの、教えるよ?」
なんかでも、男親ってこうなのかもなって思わせる展開もうまいんだよお(涙)
「ちがう」
津野くんなら、弥生さんならピンとくるかもしれないのに。
夏くんは、どうしてもズレる。
「図書館、なんで1人で行ったの?」
答えない海ちゃん。
「1人で行くのやめて、心配だから。家で待ってるの、淋しかった?海ちゃん?」
あーーーーーーー目黒蓮さん良いお芝居です。うぐぐぐぐ。
「ママと2人だった時、保育園の子に言われた。パパいなくて淋しくないの?って」
「うん」
「海ね、夏くんいなくて淋しかったことないの。おうちにいるの、ママだけで大丈夫だった。パパいらなかった。だから夏くんと2人も大丈夫だと思った。ママいなくても夏くんがいるから淋しくないって」
分かる、分かるよ海ちゃん。
「でも淋しかったの?」
「夏くんと2人淋しかった。ママいなくて淋しいから図書館行ってここに帰ってきた」
「図書館もここも水季いないよ?」
津野くんの話が全然理解できてない夏くんである。
「水季が亡くなってから時間経って、ほんとに水季が亡くなったこと、実感してきただけなんじゃないかな」
夏くんの言ってることも分かる。
「だから大丈夫だったのに急に淋しくなって……」
「なんで大人は死んじゃうこと、『なくなる』って言うの」
ひええええええ、そう来ましたか。亡くなる、無くなる……。
「いなくなるから?だから死んじゃった人のこと、いないいないって言うの?」
「ごめん、俺がいっぱいいっぱいでちゃんと話聞いてあげてなかったから、帰っていっぱい話そう、帰ろう」
わーーー海ちゃんに距離取られる夏くん……。
それにおばちゃん的目線から見ると、帰らなくてもいいよって思っちゃうけど、夏くんは一緒に帰りたいよね。
「海のせいでみんな淋しいって」
「みんなって?」
「海のせいでお別れしたんでしょ?」
「弥生さん?海ちゃんが悪いわけじゃないよ」
海ちゃんは弥生さんと友達になれたけど、夏くんは弥生さんと一緒にいれなくなっちゃったもんね……。
「でも海がいるからでしょう?おばあちゃんとおじいちゃん、海が夏くんのとこ行くって言ったせいで淋しくしてる。津野くんも言ってた、家も学校も遠くなるし会えなくなっちゃうねって」
それにしても、星奈ちゃんすごいセリフ量だ……。お芝居上手でえらい。
「海、夏くんといない方が良かった?みんなそう思ってる?」
「思ってないよ?」
「みんなが淋しいのは海のせい?」
「違うよ」
「海最初からいなければ良かった?」
「そういう事言わないで、いなければ良かったとかそんなのないから。
もう絶対言わないで」
もうずーっと、1話からずっと言ってる、なんで水季ちゃん黙って産んで一人で育てるって決めたのか、夏くんちゃんと話聞く態度でいたのに……でもひとつ心当たりあるとすれば、夏くんがサインしたって事かな、でもあれは夏くんのおろしてほしいって意思じゃなく、決意が固かった水季ちゃんを尊重してしたことだからって言ってましたが。
ここできっちり、一度は同意書にサインした夏くんを攻めてくる。
いなければ良かった?って。
「ママ寂しそうだった。
ママいたのになんで一緒にいてくれなかったの?
まだパパじゃなかったから?」
ここで挟まれる回想シーン。
あの日、病院へ向かう大学生の水季ちゃんと後ろをついてく夏くん。
「ついてこなくていいって、産婦人科だよ、どっかで時間潰してて」
「大丈夫だって、責任感じないでよ、夏くんまだ親じゃないんだから」
ここでこの言葉を入れる意味……まだ親じゃないんだから責任感じないでって、うーん。
それって、今はもう親だからってことで。
「なんでママいた時パパになってくれなかったの?
なんで2人でって言うの?
なんでママいないって言うの?
海ママとずっと一緒にいたもん
いなかったの、夏くんじゃん」
これもずっと危ういなあって思ってた、水季ちゃんが嬉しそうに海ちゃんの前で夏くんの話してた事……。
夏くんには頼らない一人で頑張るならそれはそれで立派だと思うし、夏くんの信頼をぶった切るような別れ方をしておいて、でも夏くん夏くん、パパは夏くんって海ちゃんに言ってるの私はわりと理解に苦しんだのだけど、夏くんに断りなく家に行く練習してたりとか、言いたくないけどほらやっぱりとしか……。
それに、ママ、淋しそうに見えてたんだ、海ちゃん。
ここで知らなかったんだよ、ママが海ちゃんの事ずっと内緒にしてたんだよ、と言えない夏くんも、夏くんが夏くんである所以なんだけど、なんだけど。
だからこれを海ちゃんに言わせてしまった、こういう気持ちにさせてしまったのはここ最近の夏くんであるという地獄の展開になってしまうんだけど、
夏くんだってパパ1年生どころか何日目の話なので。
さっきいなくなっちゃった時も、親として叱るのか寄り添うのか、みんな悩むところだと思うし。そんなのまだまだ手探りな夏くんに、いなかったの夏くんじゃん、という言葉はきついきつすぎる。
男の人は隠されたら分からないですよね、とか、男だからサインしてお金出して、優しい言葉かけてそれで終わり、とかさんざん言われてきた夏くんだけど、ここで「でも産まれた瞬間からパパの責任はあったでしょう?」と実の娘に言われるという……。
それにしても、本当にここの目黒蓮さんのお芝居が素晴らしくってですね。
泣けるというよりは「ど、どうしたらいいんやー!」って頭を抱えてしまうシーンなんだけど、目黒くんのお芝居が胸を打ってしまって泣けてしまう。
こんなに、毎週毎シーン限界突破していく推しのお芝居をみせてもらえる無上の喜び……。ありがたすぎる。目黒くん、月岡夏くんを演じてくれて本当にありがとう。
やっぱりここまで来て思うのは、水季ちゃんの不在はどうやっても埋まらない大きな穴だから、みんなで水季ちゃんがいなくなったところを助けあいながら生きていくしかないと思うんだけど、そうなると夏くんは分かってないって言われちゃうしなあ。
あああああ、最終話、みんなが幸せになれますように。
夏くんが水季ちゃんの手紙読んでくれますように笑。
やっぱりラストシーンかな……。
ついにあと1話。大切に受け取りたいと思います。
最後までお付き合いありがとうございました。
https://youtu.be/x19EGNtfuvw?si=1Tc6oZDQr-5L6ktH