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年に一度、夜に行われていた授業はお祭りだった

私が小学生の時、年に一度だけ「とんど」という特別な学校行事がありました。

行事は二部構成になっていて、昼間に一旦帰宅し、夜に再度小学校に行くというものです。

当日までの準備 

行事のメインの「とんど」で使用する「竹」を6年生と先生が近くの竹林まで取りに行き、わら等も使って組み立てていきます。下級生も「お願い事」や「書き初め」の作品を飾っていきます。

本番数日前には出来上がっていて、持久走で周りを走りながら、気になっている子のお願い事を探してみたり、書き初めの作品で「この子、上手!!」と感心したり。
「まだかなまだかな」と当日がくるのをみんなで楽しみに待っていました。

第一部 収穫祭(午前)

体育館での式が終わった後に、校庭で餅つきが行われて、地域の方々と一緒に餅つきをしたり、お餅を丸めたりしました。「自分自身が丸めたお餅一つ」が、第二部のお楽しみに繋がります。

教室の後ろにある棚に半紙のような紙を並べ、子供達のお餅を上に載せます。
4〜5人ずつのグループごとに並ぶようにお餅を置いていくのですが、グループ内で「これは私のだよ」「こっちは俺ね」と並び順の共有をしていました。

真っ白な一つのお餅ですが、少しぺちゃんこになっているものだったり、コンパクトに丸めてあるものだったり、それぞれに個性がありました。

「今すぐ食べたいな〜つきたてのお餅。つるつるふわふわ、柔らかいなぁ」そんな食べたい気持ちをグッと抑えて「また後でねー」と帰宅します。

第二部 とんど祭り(夜)

日が暮れた頃、ワクワクしながら、再度小学校に行きます。

地域に住んでいる方も、お正月のしめ縄やお餅を持って集まります。しめ縄は「とんど」に置かれます。

いよいよメインの「とんど祭り」が始まり、上級生がトーチを使用して子とんど三つ、親とんど一つに火をつけていきます。

激しく燃え上がる炎、「バーン」と鳴る竹の破裂音に驚きながら、落ち着くまでの間、子供達が歌います。

燃えろよ 燃えろよ 炎を燃えろ
火の粉を巻き上げ 天までこがせ

しばらくすると、炎が小さくなってくるので、一番楽しみな「お餅」を焼く時間になります。

グループごとにお餅を細い竹に刺しているので、その竹を2,3人で協力して並んで持ち、焼いていきます。手には軍手をしっかりはめて、やけどをしないように、びくびくしながら。

「焼けてきたんじゃない?」
端の方が少しだけ焦げた「自分で丸めたお餅」を竹から離して食べ始めます。少し焦げたところが苦いけれど、アツアツです。

同じ頃に地域の方たちや保護者もそれぞれの「My餅」を焼いて食べます。中には砂糖醤油を持参して楽しむ方もいました。

「あーーーーおいしかった!まだ食べたいなぁ」
みんなそう言いながら、とんどの終わりを迎えます。「来年もまたお餅食べるぞ~」と次の楽しみもできていました。

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そんな子供時代。お餅に使うもち米は、毎年5年生が近くの田んぼを借りて、地域の方に教わりながら田植え・稲刈りを頑張っていたものが使われていました。

今は通っていた小学校の行事としてはありません。田植え・稲刈りも今では学校の隅にある小さいスペースで行われています。

少し淋しいですが、現在その学校に通っている我が子(私の母校に子供も通っています)に話すと「いいなー」と言われます。

少し焦げたお餅。味は付けていなかったけれど、おいしくて今でも記憶に残っています。

※とんどは、地域によってはどんとなど、呼び方が様々ですが、私が住んでいる地域ではとんどと呼ばれています。

#おいしいはたのしい

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