昼休みに、心は微熱を帯びて、空へ羽ばたく#あなスパ
すまいるスパイス、3周年、おめでとうございます!いつも私の耳と心を優しくもみほぐしてくださり、本当にありがとうございます。
下記企画に、心して参加させていただきます!
③ゲスト、その他企画部門への応募作となります。
#あなスパ
さて、今日も昼休みがやって来た。
「樹さん、昼だよ~。実験終わった~?」
「いえ、今待ち時間で、昼明けの13時15分くらいから次の工程を始めます」
「よかった。樹さんいっつも昼休み潰しちゃうから。ちゃんと休んでよ~」
『ハンボウキダカラ、ヒルヤスミヲツブサナイト、テイジニオワンナインダケドナ……』
職場が、急速にホワイトになっている。このご時世だからだろうか。
業務の負荷が軽い人から、定時になると時報のように退社していく。
素晴らしいことではないか。
『スコシデイイ、テツダッテクレレバイイノニ……』
私の周りだけ、時空が歪んでいるようだ。
私のメイン業務は実験。
複数の実験スケジュールを、入れ子状に組んで並列で走らせ、効率を上げる。業務が集中する繁忙期には、失敗ができないので、か・な・り、ピリピリする。
その日は、昼休みに作業しようと思っていた実験がなくなり、時間がぽっかりと空いていた。
頭の中は、ピリピリ。
ピリ、ピリ……?
はっ!
ピリ、ピリ……ピリカさん!
昼に時間が空いたらずっと聴きたかったんだ!
ピリカさんのすまいるスパイス!!
急いでロッカーに走ってイヤホンを取ってくる。
頭の中に流れてくる、いつものタイトルコール。
「すまいるスパイス~!」
そのコールを聞くと、私の心は実験室を飛び出し、空へと舞い上がった。
私の思い出のすまいるスパイスは、2023年9月6日の……!
微熱さんゲスト回!!!
影ながら、微熱さんファンである。
絵も、エッセイも、創作も全部素敵。
まず、お礼を。
ピリカさん、コッシ―さん、微熱さんの素晴らしいトークを引き出してくださって、ありがとうございました。
この放送で、初めて微熱さんのお声を拝聴した。お声から、前向きで気さくな、とっても素敵なお人柄を感じる。ピリカさんとコッシ―さんによれば、とてもお綺麗だという。わかる、わかりますよ。このお声は間違いなく美人さんの声よ。
ピリカさん、コッシ―さんのコメントに深く感情移入しながら、じっくりと聞き入った。
ピリカさんが、「周りの景色が微熱さんのフィルターを通して見える」と仰っている。
わかる。すごくわかる。
微熱さんの作品には、どの作品にも、いつも血が通っていて、「生きて」いるし、視覚を共有しているように、微熱さんが書いた景色が、「視えて」しまう。
すごい。すごすぎる。微熱さんは、息を吸って吐くようにあの作品たちを書き下ろしていらっしゃるのか。
ピリカさんが、微熱さんの文章は山田詠美先生の文章と似ていると仰ったが、とても共感できる。そういえば、山田詠美先生のエッセイで、デビュー作の最初の一文を書いたら、その後の10万字を書けてしまった、とあったっけ。
微熱さんの創作の秘訣は、徹底的にリアルを追求すること、だという。
カレーパンのシーンを書くために、カレーパンを実際に買い求め、カレーパンがカリカリに焼けて爆ぜる音を録音し、その音声を文字に起こしているという。
はいここ、テストに出ます!!
創作を志す人、必聴ですよ!!
私も、森の音や泉の音を録音してはいたけれど、何度も聞いて文字に起こすことはしていなかった。微熱さんの創作が「生きて」いるのは、このような基礎があったからなのか。
外国や日本での全ての、様々な人生経験が、微熱さんの作品を豊かにしているのだ。いい思い出も、今は辛い思い出も、どちらも必ずいつかプラスになるのだと確信できる。
圧倒的言語能力。芸術家であり、哲学者である。
此処まで書いて、納得した。
微熱さんの作品を裏打ちするのは、自分と、世界と、このようにして日々真剣に向き合ってこられたご経験なのだと。
自分の経験をプラスに評価し、経験を文章に織り交ぜて書くことの大切さを知った。
私は変わった。鳥かごの中に自分を閉じ込めていたのは、自分自身だった。籠の扉はずっと前から開いていたのに、飛び立つこと、飛べること自体を、忘れていた。
ノートパソコン片手に、広い世界を冒険しよう。冒険で見聞きした物事を、きちんと文章にして、多くの人に伝えよう。
微熱さんワールドへ、翼を広げて飛び出した1時間。何て世界は広いのだろうと、心はずっと大空を滑空している。
昼休みが終わった。
あれ。体が軽い。
<終>
※すまいるスパイスには、昼休みに聴くと、モヤモヤとした気持ちを軽くし、午後に向けてリフレッシュさせてくれる効能があります(樹調べ)。