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#逆翻訳ハヤブサ ロングフォーム(みじかめ) その②
文学修練場、逆翻訳ハヤブサのお時間です。
逆翻訳は翻訳作業の一種で、英語だと「バックトランスレーション」と言います。
細かいハヤブサのうまみはその①の冒頭にまとめましたのでこちらをご覧ください↓
ハヤブサの遊び方(ハヤブサロングフォーム ver)
① ものずきが4人あつまる
② 1人目が小説を書く
③ 2人目は1人目の小説をみて、小説→短歌に翻訳
④ 3人目は2人目の短歌だけみて短歌→小説に逆翻訳
⑤ 4人目が3人目の小説だけみて小説→短歌に逆翻訳
⑥ 最後によってたかってできあがりをたのしむ
今回は、小説→短歌→小説→短歌 と2ループ繰り返すロングフォームVer。
さらに「小説は140文字前後」「原作小説はひとりめが書く」としました。他にも、以下の名詞縛りルールを適用しました。
◎短歌を翻訳するとき・小説を逆翻訳するときのルール
・翻訳短歌を書くとき、原作小説タイトルの名詞を使わないこと
・翻訳短歌を書くときに使用する名詞は、原作小説内の名詞だけを使うこと
・逆翻訳戯曲を書くときに使用する名詞は、翻訳短歌内の名詞を使わないこと
今回は、小説→短歌→小説→短歌 と2ループ繰り返すロングフォームVer。
さらに「小説は140文字前後」「原作小説はひとりめが書く」としました。他にも、以下の名詞縛りルールを適用しました。
さっそくハヤブサロングフォームで遊んでみる
あつまったものずき
作成順もこの順番です。
1人目 えこ(イルカと泳ぐツアーに行ってイルカに会えなかった)
2人目 りっか(大事なのは視線誘導)
3人目 じゅんき(愛について考えていたことがある)
4人目 てづかっちょ(シメはクラフトビール)
さてここから1→2→3→4と、時系列にできたものを紹介してもいいのですが、今回は敢えて、後ろから。それぞれの小説や短歌を読んで
「これはどんな小説や短歌を元に書かれたものなんだろう?」
と考えながら、読んでいただけたら幸いです。
ハヤブサスタート!
4人目てづかっちょが、3人目じゅんきの小説を読んで、逆翻訳した短歌。
4年半
思い出ぽつり
帰り道
びしょびしょ濡れる
深夜の1時
↑この短歌の元になった小説が、こちら↓
3人目じゅんきが、2人目りっかの短歌を読んで、逆翻訳した小説。
とぼとぼ。不思議な音だ。私にとって、歩く時はてくてく。だけど今の私の歩く音はべちゃべちゃがふさわしい。午前1時を回る駅のホームから、私は家に向かう。ひとりで。大学一年から4年半。初めての恋人にしては長く続いたと自分を褒める。こどの頃をあまり覚えていない私は、彼との思い出を覚えていられるだろうか。とぼとぼ。しくしく。びしょびしょ。いつもの帰り道は、いつもより長い。
↑この小説の元になった短歌が、こちら↓
2人目りっかが、1人目えこの小説を読んで、翻訳した短歌。
最終の電車も終わる今日にいて
彼女が触れる自宅への夜
↑この短歌の元になった小説が、こちら↓
1人目えこが書いた小説。(=原作小説)
既に最終電車は出たあとらしい。
シャッターを降ろすのは、ホーム内に浮浪者が侵入することを防ぐためだろうが、いかに屋根があっても今日の気温では外で夜を明かすことは不可能だろう。
「寒いね」
彼女がわざとらしく私の腕にまとわりついた。
「うん」
私はひとつ返事をすると、いいとも悪いとも言わずに自宅への道を歩き出した。
できあがりをたのしむ
リアルタイムで感想を言い合った上に記録を取っていないので、以下はうろ覚えです。
出会いの物語から別れの物語になった!
それは多分電車が「終わる」が「恋の終わり」の比喩になったから。
てづかっちょは、数字を抽出する傾向にあるね。
まとめながら2人目が思ったこと
なんとなくルーズな手触りの出会いの小説は、短歌→小説と経由して、別れの短歌になりました。これは2人目の私が「出会い」というアクティビティを短歌翻訳の時に落としてしまって「終電=電車の終わり」が比喩として「恋の終わり」にオーバラップしたためです。
また「彼視点」から「彼女視点」に一度変化し、その後、詠み手の性別を明示しない短歌に着地したところも、私としては興味深いです。
31音の短歌をふたたび逆翻訳して小説にする時、「復元」と称してどのように文字数を増やしていくのかは書き手によりかなり個性が出ます。
前回その①のえこはアクティビティを増やして物語の起承転結を鮮やかに、対して、今回その②のじゅんきは様々な擬音を追加することで、出来事の情緒性を増やしています。
この4人で作ったものが他にもあるので、随時更新します。
過去のハヤブサシリーズもぜひご覧ください。