映画メモ91「ルックバック」
湧き上がる思いでニマニマしちゃうの
我慢して我慢して変な顔になってたり
スキップして、大げさにスキップして
飛んだり跳ねたり。
何なら叫んだりさ。
みんな一人の時にしかしないそういうのを
藤本タツキは描くのが上手いなって思う。
小学生あるあるだったりするのも、
ああ、大人が見た小学生じゃなく
小学生だった人が描いた小学生の「あるある」。
簡単にイマドキっぽくまとめたら
「解像度が高い」
なんだろう。
私はこの表現、最近は面倒で使っちゃうけど
同じシリーズに「民度」がある。
そんなのでまとめちゃいけない、それこそ解像度の低い言葉。
言葉を使うことに手を抜いている。
それが「解像度が高い」なんだよね、私にとっては。
人間という情報の多い物体の
どこを切り取るかが、もしかして個人差みたいなもので
見た目の中でも瞳、唇、手、足なんかもあるだろうし
声とか話し方、
考え方とか
その人の感性とか
その人間の持つ何に惹かれるかも千差万別。
事細かにたとえば好きな理由を挙げる必要はないだろうけど
人間を単純に見ることはできれば避けたいなと思う。
人間は、臓器の数や細胞を考えたって、
どう考えたって複雑なものだから。
私は人間が苦手で、だけど大好きだ。
人間という、生きるものを尊重している。
チェーンソーマンのマキマさん(支配の悪魔)のときも
なんだこの人間というものへの考察っぷり!と驚いたんだった。
支配というものを恐れるのが
人間の本来だと思うのだけど、最近は世界が複雑になりつつあるせいか
自分で思考することを放棄して、この際だから支配されたい!と
いう人が増えてきてしまったのじゃないかと。
そしたら、支配なんて抽象じゃなくて銃とか飢餓とかじゃないと
恐怖を感じられなくなってしまったのかもしれない。
ふたりのきらきらした日々。
失ってしまった後のたらればに苦しめられる日々。
だけど、何としてでも落としどころを見つけて
一歩踏み出していけるその強さを
そのきらきらが育んでいたんだよね。
そういえば、なぜか保育園の頃に紙版画を褒められて
小学校での木版画も褒められた。
版画は好きだったんだけど、あのふたりみたいには
なれなかった。
4,5年前に突然彫ってみたのがこちら。
おしまい。