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miyakobook
(読書感想文)「ラッシュライフ」
伊坂幸太郎著「ラッシュライフ」読了。
泥棒を生業とする男は新たなカモを物色する。父に自殺された青年は神に憧れる。女性カウンセラーは不倫相手との再婚を企む。職を失い家族に見捨てられた男は野良犬を拾う。
幕間には歩くバラバラ死体登場ーーー。
並走する四つの物語、交錯する十以上の人生、その果てに待つ意外な未来。不思議な人物、機知に富む会話、先の読めない展開。巧緻な騙し絵のごとき現代の寓話の幕が、今あがる。
並行した人生が巧妙に絡み合う。
縁遠い職業も多く、遠い世界のストーリーのようで、金や仕事など無縁ではない。
登場人物は悪人も多い。真面目に誠実に生きている人が不幸な目に遭っていたりする。
読んで総じて感じたのは、思い詰めずに肩の力を抜いて生きるべしということ。
結婚に失敗したら離婚すればいいし、仕事が辛かったら転職するなり他に仕事を見つければいいし、交友関係がしんどければ環境を変えて付き合う人を変えればいい。
生きてさえいれば高額な宝くじに当たるかもしれないし、賢い野良犬に出会えるかもしれない。
何より、人間関係こそ財産。
お金だけを拠り所にする人生は孤独でさもしいものだから。
⭐︎⭐︎⭐︎
「ゴールデンスランバー」などの疾走感も好きな伊坂作品は定期的に読みたくなる。
今回出てきたキャラクターで1番好きだったのは泥棒の黒澤なのだが、他作品でも出ているらしく、他作品の再読も楽しみにしたい。