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2019年12月の記事一覧
WhiteNOise #13
偽紅色が紅色になれないように、
僕らは本物になれなかった。
生まれ変わったら、君に会いに行こう。
生れ変わりなんて、信じてないけれど。
モノローグでモノクロームな世界
第七部 第三章
三、
「ワームが時々、壁の外に出るのは、壁の中で売るための資源を集める意味もあるのだけれど、本当は調査が主なのよ。この調査で、未だ残留物が酷く、人が住むことに適さない場所と、数値的にはクリアな場所も分かってきている。」
そう言いながら、リトリは白いテーブルの上に大きな地図を広げた。
紙を何枚も貼り付けたその地図には、何度も修正され描き直された外側の世界と、もはや擦れ消えかかってい
モノローグでモノクロームな世界
第七部 第三章
二、
意図的に世界を編集する。
違う文脈。
「ワームの目的は何ですか?世界を破壊することですか?」
「いいえ、それは違う。ただ私達は私達の世界を取り戻したいだけよ。
違う文脈で読むことで、言葉は違う意味を得る。彼らが造り上げたこの世界は確かに誰も傷つけない、優しい世界かもしれない。
でも、そのために、世界を塗り替えるのは間違っている。
明日が夢見れない世界なんて、本当に優しい世
モノローグでモノクロームな世界
第七部 第三章
一、
「外の調査のやり方を教えてくれたのも、満足に読み書きができない子供たちに言葉を教えてくれたのも、私達が自活できるように外の資源をどうすれば物資に変えられるのかも、教えてくれたのはミハラだった。
神代真飛がこのワームの全てを創った。そう世間では思われているけれど、彼は私達、行き場を失った者達に居場所を与えただけ。勿論、私達は皆、彼のことも大切に思っているわ。たとえ、それがどん
モノローグでモノクロームな世界
第七部 第二章
三、
「不思議よね。
人間と違って、私には、本来湧き上がるような感情も、
記憶を懐かしむことも、
誰かを失って悲しいと思う事も、
嬉しいも苦しいも、
寂しいも恋しいも、
全て無い筈なのに。
それなのに、今、こうして、
ミハラ、彼の事を思い出すと悲しかったり、懐かしかったりする。」
そう話すリトリの自室は、舟のほぼ真ん中に位置していた。
それは彼女の存在がこのワームという組織