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一ノ瀬 織聖
2018年12月4日 23:23
第一部第三章 一、 マドカの赤い血は、彼女自身を美しく彩り、僕の白い世界を真っ赤に染め上げた。彼女の色は僕に、この世界から色が無くなったわけではなく、僕らが色を喪ったという事実を突きつけた。 あの時、僕が見た色は『赫』だった。白でもなく、黒でもなく、灰色でもない、深紅の赫。視覚はまだ色を感知できる。記憶は、感情は、脳は、心は、『まだ色を覚えている。』それなのに、僕らは一体どこで色