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第11話:未開の地へ。お年玉ってなんぞや

今年も残り364日です。全力で生きましょう。
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さて、前回は自分の悪行により母親の彼氏たか兄からの体罰を受けてしまったえーちゃんのお話でした。おれは今2人の子供を育てています。言う事を聞かずに騒いで走り回って悪さして、生意気言ってムカつく時もあります。ただ絶対に体罰だけはしません。ゲンコツくらいはしますが…それも本当にどうしようもない時だけです。暴力、体罰反対派です。何があっても正当防衛以外では手を出した方が負けです。暴力の無い世界は素晴らしいです。そんな世の中になったらいいですね。

👉大豪邸にビビる

窃盗事件以降たか兄の前で本来の自分を出せなくなったおれ。ばあちゃん家以外は何処にいても居心地が悪かった。両親が当たり前に居て幸せで毎日楽しそうな友達がいる学校。大好きな母親までたか兄の前では別人になってしまい他の兄弟達もみんな別人の様になっていった我が家。そりゃそうだ。赤の他人、しかもおじさんと衣食住を始めたのだから。

まさに新生活。新生活というと響きはいいが最悪な日常を過ごしていた。この頃の楽しかたった記憶なんて何も残っていない。

迎えた小学生最後の冬休み。冬休みと言えばクリスマスにお正月。楽しい事ばかりだ。しかしおれには楽しかった記憶はない。クリスマスも何を貰ったかも記憶にない。貧乏だったからお年玉はこの年になっても全回収されていた。新学期明けに友達と「お年玉いくら貰った?」なんて話で盛り上がった記憶は皆さんにもあるだろう?おれは毎年この話をするのも辛かった。

そんな忘れもしない新年の幕開け。おれら家族は初めてたか兄の両親に会いに行った。

実はたか兄の親も離婚を経験していた。兄弟こそ多く無かったもののお母さんが血の繋がっていない義理の母だったのだ。後から聞いたが色々複雑な家庭で育ったみたいでなんか不思議な気持ちになった。

たか兄の実家は住んでいた山梨県ではなく群馬県にあった。下道5時間車で揺られ見慣れない景色にコンビニに寄ってお菓子買ったり。おれ達家族は遠出が好きだった。車が趣味の実父は離婚する少し前にミニバンを買っていてその車で家族みんなでワイワイとお出掛けするのが好きだった。そのなごりだ。車は母親が譲り受けていて乗っていた。

到着直前におれ達はたか兄から「挨拶はしっかりしなさい」「厳しい人だから」「行儀良くしなさい」等を言われ少し緊張していたと思う。いくつもの山を越え群馬県の榛名町という山々に囲まれた所におばあちゃん家はあった。

興奮した。大豪邸だった。めちゃくちゃ綺麗でデカくて庭も広く畑まで所有していて。小型犬を飼っていて。おれは驚いた。「すげぇ」「金持ちやん」「ウチのばあちゃん家のゴミ屋敷とは比べもんになんねぇ」おれは胸が高鳴った。そう。正月と言えばお年玉。お金だ。こんな豪邸に住んでるんだ。期待に胸が膨らむ。しかし現実は甘かった。

👉お年玉作戦

おれ達は到着後適当に挨拶を交わし外の畑を探索したりしていた。
おばあちゃんは綺麗好きで芯がある様な人だった。ハキハキしていて確かに厳しそうな人。おじいちゃんはニコニコしていて優しそうな人、穏やかな人だった。初対面だった母親もガチガチになっていたと思う。

おれ達はお正月料理をご馳走になった。慣れない部屋で慣れない空気で全然美味しく無かったのを覚えている。そんな事よりおれはお年玉だった。「早くくれ。あるんだろう??」とばかり。

でかいリビングで2時間くらいまったりしたり犬と遊んだり過ごしていた。そこでおれは見てはいけない物を見てしまった。

何故かたか兄の方がおばあちゃんにお年玉を渡していたのだ。しかも5人分。

は?え?なんで??おれはその時は分からなかった。ただ見てはいけないものを見てしまった気がした。

そして帰り際遂にその時がきた。おばあちゃんから呼びだされ並んだ子供達。自分が用意したかのようにおばあちゃんはニコニコしながらたか兄から渡されたお年玉をおれ達にくれた。意味がわからない。

たか兄→おばあちゃん→おれ達

意味がわからない。
何故だ。こんな立派な豪邸に住んでいて小綺麗な格好していて。何故だ。しかしすぐそんな疑問も解決してしまった。

👉回収の義

車に乗り込みすぐに中身を確認した。5000円入っていた。めちゃくちゃ嬉しかった記憶がある。しかし疑問は残る。これはたか兄が渡していたお年玉だ。

おれ達は近くのコンビニに止まりトイレ休憩をした。そこで母親に話があると。姉とおれだけ呼び出され下の子達は呼ばれなかった。

「おばあちゃん達は年金生活でお金ないんだよ」「借金凄くてあの家に住んでるのもやっと」「ウチと同じで貧乏なんだよね」

嘘だ。そんな訳ないと思った。しかしたか兄からも話を聞かされ納得した。
どうやらたか兄のおじいちゃんは会社をやっていたらしく事業が上手くいかずに会社を畳んだばかりだったらしい。オーラだけは凄かった2人。しかしカツカツで生活水準も高くとにかく生活するのもギリギリだったらしい。そんな事をおれ達に感じさせない様に振る舞っていたのだと。姉とおれだけには事実を話してくれた。

お年玉は再びたか兄の元に戻った。仕方なかったけど行く前に聞きたかった。ワクワクを返してほしい。虚しかった。

ただ離婚後、久々の遠出のお出掛けを家族みんなでできたのだけでも嬉しかったから良かった。そう自分に言い聞かせ山梨県へと帰った小6の冬休みの思い出だ。

👉次回予告

旅立ちの日。山梨との別れ

👉最後に

皆さんはお年玉いくらくらい貰えてましたか?「おれは10万貰えた」とかイキってた友達も居ませんでしたか?身内が多い友達が羨ましかったです。因みにおれは恥ずかしくて3万くらいかなって強がってましたが実際は2000円くらいしか使わして貰えずに後は母のパチンコ代に消えていましたね。それもいい思い出です。母は「増やして返すよ」なんて言ってた記憶があります笑

また明日

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