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焼酎について
はじめに
以前に國酒のオーバーオールな話を書いた。
今回、鹿児島に行く機会があり、いくつかローカルでしか飲めないような焼酎を飲むことができた。これを機に焼酎についてもう一つ書いてみたいと思う。
焼酎製法のイノベーションは鹿児島で起こった
焼酎という文字は、16世紀の木片にもみられ、500年以上の歴史を持っている國酒である。近代になって鹿児島で麹と主原料を別々に仕込む、二次仕込み法が開発された。
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本格焼酎の化学(化学と教育, 460-461 64(9), 2016)
焼酎の原料はスターチ系の原料であるため、アルコール発酵のまえに酵素であるendo α-amylaseとexo glucoamylaseにより、グルコースに分解される必要がある。これらの酵素を作り出すのがaspergillus属のかびである麹菌だ。この酵素を作る工程が製麴である。米や大麦に麹菌をふりかけ、麹菌を大量に増殖させ、その過程ででてくる酵素を利用するのである。
麹菌はわが国の国菌である。焼酎製造には黒麹菌と白麹菌が用いられる。どちらも成長の過程でクエン酸も産出するため、pHを低く保つことができる。
こうしてできた麹に水と酵母を加え、発酵させた一次もろみを製造するのが一時仕込みだ。一週間ほどの工程である。麹によりpHは3程度に保たれ、鹿児島のような温暖な地域でも腐らない。この工程で多量の酵素と酵母が作られる。同時にでてきたグルコースからアルコールも作られているはずだ。
この一次もろみに主原料と水が加えられ、アルコール発酵が行われるのが二次仕込みである。一、二週間かけて酵母がアルコールを本格的に生成する。酵母は各社が異なったものを用いている。酵母はアルコールとともにアミノ酸からエステルを作り出す。このエステルが香気成分となり、最終製品としての焼酎に違いをもたらす。
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本格焼酎の化学(化学と教育, 460-461 64(9), 2016)
こうしてできた二次もろみを蒸留すると焼酎ができあがるのであるが、蒸留も常圧で蒸気で行う場合と減圧で40-50℃で行う場合でエステルに対する影響が違うため、風味が異なってくる。
多様な主原料
焼酎の主原料は多彩だ。芋、黒糖、麦、米をはじめとして、とうもろこし、さつまいも、そして牛乳や緑茶も原料になるとのことだ。グルコース環があればなんでもいいのであろう。しそやそばからも焼酎はできる。
原料によって蒸留方法異なる。芋や黒糖で作る焼酎は蒸気蒸留であるためメイラード反応やストレッカー分解により香りが多くでる。メイラード反応とは、アミノ酸化合物と還元糖を加熱した時に褐変物質や揮発性物質をだす反応であり、ストレッカー分解はメイラード反応の過程でアルデハイドなどを生成する反応である。
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一方、米や麦の場合は、温度をかけない蒸留にため香りがあまりない。
明るい農村
明るい農村は霧島市の霧島町蒸溜所で作られている芋焼酎である。小さな会社で、ここの一年の生産量が黒霧島一日分にあたる程度だ。
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筆者は2月にここを訪れたが、今シーズンの蒸留はそろそろ終了と言っていた。
ここは工程が漫画で示されていた。通常は米麹を用いているのだが、製麹を芋もしくはさつまいもを用いたスペシャルグレードもあった。
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かめにいれたあと一年くらい熟成させるのだそうだ。
最後に今回飲んだ鹿児島芋焼酎をあげておきたい。いずれもおいしかった。
伊佐美(伊佐市)
村尾(薩摩川内市)
天文館(南さつま市)
知覧tea酎(南九州市)
一尚シルバー黒麹(さつま町)
夕Seki(日置市)
大和桜(いちき串木野市)
(Feb/2024)