ちょっとした好奇心から、日常がもっと面白くなる。<劇場版ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん>
リアルに会える友達も好きだけれど、ネット上での関係性の方が居心地がいいときもある。
他人だから話せることもあるし、冷静に話を聞けたりもする。
実生活でも、ネットでも、コミュニティを持つことで救われることは多々ある。
居場所って、たくさんあって困ることはない。
私はネットワークゲーム(というよりゲーム全般)をやらないのだけれど、「息子であることを隠して、父親とゲームでコミュニケーションを取る」というストーリーに惹かれて「劇場版ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん」を観に行った。
突然会社を辞めて単身赴任から戻ってきた父親とは、長年没交渉。
唯一、子供の頃に一緒に遊んだ「ファイナルファンタジー」で再度交流を測ろうと、退職祝いの名目で「ファイナルファンタジーXIV」を贈り、ゲーム上で父親に近づいていくというストーリー。
自分が息子だとカミングアウトするまでのシンプルな物語なのだが、父親がゲームにハマっていく過程や、家ではわからない父の隠れた(?)性格を知るなど、じわじわ面白い。
(鑑賞後、これが実話をベースにした物語だと知った)
仲間と父と、一緒に戦って敵を倒していくことで二人の関係性も深まっていく。
挑戦したり冒険したり友達を作ったりするドキドキやワクワク体験は、リアルでもゲームでも一緒。
ゲームで得た達成感が自信になったり、逆に、リアルで得た体験がゲームに役立ったりと、異なる階層がポンプのように循環してエネルギーを送り合っているのがイイ。
公式サイトに、原作者であるマイディーさんのコメントがあるのだが、この思いはまさに映画によって表現されていたなと思った。
「お父さんを誘ったら面白んじゃないかな」という好奇心から始まった「光のお父さん計画」。
ちょっとした好奇心から、日常がもっと面白くなる。
誰かと交流することが楽しそう、と純粋に思える。
「みんな仲良く!」と言われるよりも、数倍説得力があるお話だった。
(光のお父さん、という表現が、これまた退職したお父さんへのエールになっていて心温まった。)
<Spark Joy!>
★父の、ネット上のキャラがいい。
お堅いお父さんだったはずが…!?という意外性。
人って、まだ知らない一面があるよね。
★仕事でしか交友関係を得られていない人にとって、ゲームの世界はかなり救いになるんじゃないかなと感じた。住んでいる場所も年齢も関係ないのがいい。
★ゲームをプレイしたくなる。魅力満載。
<Please!>
★職場の設定やプレゼンテーション、会話のあれこれが不自然なのが残念。
広告代理店がデフォルメされているのだけれど、大げさすぎてリアリティに欠けると物語に入れずに素に戻ってしまう。
この映画とは関係ないけど、例えば天才ハッカー役なのにキーボードの指の位置がバラバラとか、細かい所で冷めてしまう瞬間がある。
(気にならないときもある)
気になるときとならないときの、この差は何だろうなー。
<劇場版ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん>
https://gaga.ne.jp/hikarinootosan/
監督:野口 照夫 ゲームパート監督:山本 清史
原作:マイディー
キャスト:坂口健太郎 吉田鋼太郎 佐久間由衣 山本舞香 佐藤隆太 財前直見
追記。<ドラマ版も見てみた!>
ドラマ版の方が先に制作されていたそうなので、映画鑑賞後に気になって一気見。
監督やスタッフさん、映画と一緒なんですね!
https://hikarinootosan.jp/index.html
映画は坂口健太郎と吉田鋼太郎。ドラマ版は千葉雄大と大杉連。
いずれもそれぞれ魅力的で、いい味出てました。
(映画「帝一の國」の大ファンなので、ドラマ版では千葉雄大君の顔芸(技?)をめっちゃ楽しみました)
映画版の方はよりドラマティックになっていて、ドラマ版はより身近に感じられる。
仕事の描写やラストなど、作りとしてはドラマ版の方が好みだったなー。
とはいえいずれも面白いので、見比べると楽しいかも。
ドラマ版の先輩役である袴田吉彦もすごく良かった。
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