摂食障害・トラウマ疾患をもつ方の「居場所」をつくりたい
摂食障害・トラウマ疾患をもつ方の「居場所」をつくりたい
りら便り 2022年第3号(通巻3号)
「りら カウンセリング&コンサルテーション」での取り組みを始めるにあたって、やりたいこと、実現に向けての準備、取り組みの様子などを、ご報告していきます。
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1.安心して過ごせる「居場所」が必要な方がいる
私が長く携わっていた「精神科デイケア」は、さまざまな精神疾患・障がいをお持ちの患者様が、治療のために通所する施設なのですが、長い間通所するうちに、デイケアが患者様にとってのかけがいのない「居場所」となるケースを、しばしば目の当たりにしてきました。他方で、自分の「居場所」をもつことが難しい患者様がいらっしゃったのも、また事実です。その患者様とは、摂食障害や、トラウマ疾患(PTSDなど)をもつ方でした。
摂食障害では、食行動へのとらわれや、自尊心の低下、他者への過剰な気遣いなどから、場所や人間関係への安定したつながりを保つことが難しい患者様をお見かけしました。トラウマ疾患では、過酷なトラウマ体験から、場や人、出来事への安心感を持ちにくく、他者との距離感を保ったり、安全に過ごしたりすることが難しい患者様がいらっしゃいました。
摂食障害やトラウマ疾患の患者様は、しばしば頑固な希死念慮(「消えたい」など)を訴えられるのですが、そこからも、患者様の「居場所のなさ」がうかがわれました。
2.摂食障害・トラウマ疾患をもつ方の「居場所」をつくりたい
「りら カウンセリング&コンサルテーション」では、摂食障害やトラウマ疾患をもつ方の、ささやかな居場所を、地域の中に作りたいと考えております。安全で温かく、思い思いに過ごせる場となるよう、計らいたいと思います。
小さな心理相談室での取り組みなので、月1回ほど、無理のないペースで始めます。医療・福祉サービスだけでなく、地域に居場所を作る意義は、大きいと思われます。「砂漠のオアシス」のような場所を目指しますが、ゆくゆくは地域全体が、安全・安心な場所=緑豊かな大地となることが、夢です。応援していただければ幸いです。
3.準備の進捗と、今後の予定
秋以降、月1回オープンできるよう、準備(当事者の方へのお声掛けの仕方、お手伝いいただける方の工面など)を進めていきます。狭小なスペースなので、当初お迎えできる当事者の方は、数名程度になりそうです。また、企画の趣旨から、ボランティア開催(利用料などをいただかない)にさせていただくつもりでおります。詳細が決まり次第、追ってご案内いたします。
(おわり)