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rira
2022年9月19日 08:05
祖母が亡くなったその日、今年初めての雪がちらついていた。私たちは六畳の和室に並んで正座し、横たわる祖母と無言で向かい合った。窓はすっかり曇り、白く囲まれた音のない部屋は、まるで冬に閉じ込められたかのようだ。祖母の手にそっと触れる。死というものが今まさにここにあるのだけれど、まったく実感がない。あの優しく温かい手は今やこんなにも冷たくて、硬くて、私を拒む。祖母はもう、ここにいないのだ。仮