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五線譜の裏切り 3 創作
何秒、いや何分たっただろうか
「妹さんが倒れたって、、、」
その言葉が私の耳の中で何度も繰り返される
私の耳はコンサート会場の音響を取り入れたのか
それぐらい反響して聞こえた
それに、心臓の音もうるさい
もう嫌になって、耳をふさごうとしたとき、先生が私のことをゆすってくれたおかげでようやく体が動いた
「おい、大丈夫か?」先生は優しい声で言ってくれた
「はい、、大丈夫だと思います、それよりも、妹に何があったんですか?」
何とか声を振り絞って言い切った。
自分の体が苦しい
でも、そんなことどうでもいい
妹が倒れたのだ、今動かなくてどうする
「大丈夫、安心しろ。少なくとも命にかかわるような状態ではないそうだ。妹さんは、家で過ごしていたところ熱中症になってしまい、自分で救急車をよんで運ばれたそうだ。医者が言うには軽度の熱中症で、点滴を打って、今は安静にしているらしい」
その言葉を聞いて、へたっと膝から崩れ落ちてしまった
「すまない、私の言い方が悪かったせいで、かやを動揺させてしまって」
「、、いえ大丈夫です、、すぐその病院に向かいます」
軽度とはいえ、熱中症
その原因はわからないが、私が絡んでいる
そんな気がした
学校を飛び出して、妹の居る病院に向かった。その病院は学校から近くすぐについた
「あの、すみません、さやかっていう妹が今日熱中症で倒れたと聞いてきたのですが、部屋はどちらでしょうか?」係員の人に聞いた
「あちらの突き当りの部屋になります」丁寧に答えてくれた
急いで向かい、ドアを開けると妹がいた。でも、妹とは思えないほどやつれていた。
なんで、私はこんなになるまで妹のことを見てなかったの?
自分が憎かった
「ごめんなさい」
「なんで謝るの?」
「なんでだろう、私のせいだって思ったんだよね」
「謝る必要なんてないよ、だってただ家で、過ごしててエアコンつけるの忘れるくらいゲームしてたら熱中症になった。ただそれだけだよ」そういう妹の顔は、少し無理をしているようにも思えた
「それならいいんだけど、でも、コンサートの件から態度悪くてごめん。ほんと、姉として情けないわ。ほんとにごめんなさい」
「そんなことないよ、あの件も私がわるいんだからこちらこそごめんなさい。これからも私のお姉ちゃんでいてください」
その言葉を聞いたとき、うれしいと同時に違和感も感じた。
だって、なにも妹がやつれている理由になってない
点滴程度で、こんなにやつれるとは思えない
「ありがとう、、」
妹に別れを告げ、病院を後にしながら考える。
ほんとにこれでよかったのだろうか
妹は、私と違って姉に迷惑をかけないようにしているのではないか?
それとも、ただの私の勘違い?
答えが出ぬまま、家に着いた
まだ、両親は帰っておらず疲れていたこともあって、すぐ自室に向かった
何はともあれ、少し前に進めた
少しづつ進んでいこう
そう思って、ベッドに倒れこんだ
血の付いたピアノを横に
ここまで、読んでいただきありがとうございます。
次回作も出しますので、またの機会に
それでは