見出し画像

追悼・小坂忠▶︎エイプリルフールの話

エイプリルフールのレコードが再発、そして初CD化された1988年、世にCDが浸透してきて、そろそろ新譜だけではなく、復刻モノも出始め、CDは新譜と旧譜再発の2段構えで90年代以降席巻したメディアとなった

最近80年代というとバブルと言われがちだが、実感としてはむしろ90年代、ジュリアナも90年代、CD業界の売上ピークも90年代、カラオケ文化とか渋谷のレコ屋の数とか諸々含めて、大衆が音楽を1番消費したのが90年代という認識、そうなる時代の入り口になる80年代の終わり(自分の10代の終わり)にリアルタイムの音楽が新鮮でなくなってきたのは自分だけではなかったようで、CDの旧譜再発による温故知新モードと、日本のロックが歴史を振り返り始めた時期(ネオGSブームにもそういう背景がある)がクロスする、はっぴいえんどやエイプリルフールが復刻されたのはそんなタイミング、そしてそれは今に至る再評価の始まりであり、もっと極端にいうとリアルタイムではっぴいえんどを聴いてファンになりましたという世代以来、後追いで再評価した最初の世代が80年代終わりから聴き始めた私達(YMOやロンバケ直撃から遡った世代)ではなかろうか

ということで、エイプリルフールなのだが、おそらく『ゆでめん』や『風街ろまん』と同時期に聴いたので、はっぴいえんどよりエイプリルフールの方がカッコイイじゃんとなる可能性もあったが、残念ながら世の中の大半の評価と同じでそうはならなかった、日本語ではなかったというのが大きいのかもしれないが、はっぴいえんど史観ならぬ、エイプリルフール史観というものは生まれなかった、なので正直エイプリルフールに関してはこの時レコードを買って数回聴いただけでCDも買ってない、よって聴き込みも足りないが、「暗い日曜日」という唯一の日本語曲が松本/細野コンビの源流になるという意味では重要、そしてこれを小坂忠が歌ってることによって、はっぴいえんどのファースト『ゆでめん』がこうなっていた可能性もあるということを想像させるものとして重要

当時のディスコ?ゴーゴークラブ?での録音があったら聴いてみたい、エイプリルフールの魅力はレコードよりもそちらかもという気がしてるので

初出:Instagram

2017年から再びレコードを買い集め出しましたが、小坂忠作品はどれも高く、個人的な限度額を超えるものばかりで、残念ながら1枚も入手出来ていない、次に『HORO』が再発された際には必ず手に入れる所存


いいなと思ったら応援しよう!