#読書の秋2021【キャリコンサロン編集部】
こんにちは!秋も深まる11月、みなさまいかがお過ごしでしょうか。キャリコンサロン編集部のerikoです。
今週の編集部では、noteのお題企画が選出され、2回目の「本」にまつわるテーマを掲げております。メンバー各々が#読書の秋2021、について綴るこの1週間。読書に関するどんな話題が集まるのか楽しみです☺。
せっかくなので、ものすごく久しぶりに読書感想文を書いてみることにいたします!
【死にたがりの君に贈る物語】綾崎隼さん
最初は、推理小説なのかと思って手に取ったこの物語。しかもポプラ社の一般本から推理系が出版されているなんて珍しい気がする、なんて思いながら。
実際は、推理小説ではなく、謎が発生する青春ミステリーであったのだけれど、途中で読むのをやめることはなかった。謎解きといえるであろう部分については、序盤で想像がついたが、この物語が表現したかった肝心なポイントは落ちている謎の解明ではない。
この物語は、ある人気小説家の訃報のお知らせから始まる。大人気小説『Swallowtail Waltz』の舞台となっている廃校に、小説のファン7名が集まり、物語を再現し、その結末を探るために、共同生活を始めるが・・・。
読み進めていくにつれて、各登場人物の態度や心情に、自分だったらどうするかな、などど気持ちを置き換えている私に気づく。推理小説とは異なる意味でハラハラする。
どの登場人物に共感するのか、共感できるのかによっても、物語の見方はまた違ってくるように思える。
ミステリーのカテゴリーに置かれている物語ではあるが、青春小説でもあり、恋愛小説でもあり、ヒューマン(ドラマ)小説でもある。むしろ、それらの側面がより強いのではないだろうか。
この物語は登場人物が皆、優しい。自分ではない誰かに対して、ものすごくなく一生懸命になれる。たとえ、その人が自分のことを知らなくても。
ただその存在(作家なのか物語なのか)があるだけで、生きていける。そこまで夢中になれるもの、を持てるというのは、とてつもないことだ。
この物語に登場する、自分自身が大嫌いなAさん、と、お話の中で最も重要な役割を果たすBさん。二人のやりとりは特に印象的だ。Bさんの純粋な気持ちも、Aさんには伝わらない。いえ、実は伝わっているがゆえに、もっともっと、と、自分自身を、Bさんに投影していたようにも思う。
そして、BさんはAさんの自分自身を嫌悪する姿、誰も信じられない気持ちに気づき、だからこそ自分の気持ちに正直でいることが、Aさんを変えることができるかもと信じていたような気もする。変わったその先をただ純粋に求めて。
誰に何を言われても、自分の生死を左右するようなどんなにつらい状況であっても、自分が「生きている理由」のために、ただただ気持ちを捧げる。しかも、その人は、「自分」のことを知らない。不特定多数の一人であることは知っていても。
Aさんと、Bさんの思いが際立って胸に迫る物語だが、他の登場人物の心情も胸に痛くて、そして暖かい。
私には登場人物たちのような純粋な思いが持てるだろうか。
自分のことを知らなくても、自分の「存在」がその人を支えている。その人の「存在」や、紡ぎだす何かの「存在」が自分の生きる理由になる。
思いの大きさに違いはあれど、多くの人がもっている「存在」への愛情。
最後までそれが表現されており、胸が熱くなる。
そして、この物語がポプラ社から出版されていることに意味があるのだと感じた。
ポプラ社のHP、一般書籍箇所に、こんな文言がある。
人へと成長した“子どもたち”にとって、生涯の家族や友となるような物語から、知的好奇心を満たしてくれたり、時代や流行を鋭く汲み取ったビジネス・実用書まで、幅広いラインナップを取り揃えています。
遠いと感じているけれども、近くて大好きな「存在」がある子供たち、そして大人にとっても、大切な、何かあったらふと読み直したくなるような、そんな物語の一つになるのではないかと思う。
この物語の出版が、きっとポプラ社からのメッセージ。
新しい価値観や考え、気づき、発見、それらを得られる本、純粋にワクワク、ドキドキする本、本にはいろいろな表情がある。改めて、読書って楽しいよ!
おまけ
学生時代の読書感想文は、物語の核心や結末に触れて書くことも多かったのですが、ネタバレをしないように書く必要がある今の時代の読書感想文。難しかったのですが、新鮮でした!
皆様にも、ますます読書の輪が広がりますように。
最後までお読みくださりありがとうございました☺