エルフに関する考察
ファンタジーに出てくるエルフという亜人の種族について、ちょっと考えてみた。
エルフは、不老不死、あるいはそれに準ずるかなりの長命であるという設定が多い。
だが、不老不死や長命で老化すらあまりしないはずなのに、どの世界線でもエルフの数はかなり少ない。
あまり繁殖をしないとも言われるが、多くが命を落としているという設定もかなりある。
死ぬ理由は戦死や、事故死、厭世的になっての自死(食事をとらずに命が尽きるのを待つ)などもあるが、多臓器不全(つまり体の弱体化や老化)で亡くなる場合もある。
そして、エルフたちの生態の多くは、まるで仙人のように、人里を離れてひっそりと自然の中で、わかりやすく言うと「オーガニック」に生きている。
殺生を好まず、嗜好品も好まず、華美を好まず、肥満体の個体なども見かけない。とても節制をして暮らしているのだ。
そんな彼らは、欲望を捨て、身の丈にあった生活をしている。
心や体に負担をため込まないこと。
そして、自分という存在にとらわれてない。
「楽に生きる」
「豊かに生きる」
「勝ちにこだわる」
「自分の能力にこだわる」
この感覚を持たない。
生きることにとらわれない。
自分が命を繋ぐことにとらわれない。
成長にこだわらない。
目標にとらわれない。
ただ、大いなる自然の意思のままに行くゆく。
太く短く激しく生きる。
細く長く優しく生きる。
命とは、生命力を燃やし尽くしたら果てるもの。
生命力はストレスによって燃費が悪くなる。
エルフとは、太く短く激しく生きることを放棄し、細く長く優しく生きることを選択し、自然の一部となった人間のことなのかもしれない。
日本の文化は自然と共に生きる中で生まれ、ヨーロッパは自然を切り開きながら生きたことで生まれた文化だと言われる。
ヨーロッパ人の中の一部の、自然の中で自然と共存し穏やかに生きることを望んだ人々が、人里を離れひっそりと暮らした人たちのことが伝説化して、エルフと呼ばれるようになったのかもしれない。
そんな気がしています。