見出し画像

リモートワークと企業内生成AI。「書くこと」をますます大事にするふたつのトレンド。

こんにちは、株式会社HQ(エイチキュー)でソフトウェアエンジニアをしている増田です。HQは「テクノロジーの力で、自分らしい生き方を支える社会インフラをつくる」をミッションに掲げるスタートアップ企業です。初期プロダクトとして社員の個別最適なリモートワーク環境の構築を支援する「リモートHQ」を開発、運用しています。

前回のnoteでは私がリモートワーク環境を刷新したのをきっかけに、リモートワークの今までとこれからについて考察しました。

今回の投稿では今後のビジネスでは「書くこと」や「明文化」が更に大事になっていくという話をしたいと思います。基本的にこれまでの投稿と同じテーマです。書くことが重要になっていく理由のひとつはリモートワークによる仕事の非対面化、非同期化、そして組織の多様化で、もうひとつの理由は生成AIの企業利用への普及だという話です。よろしくお願いします。


読書感想文は得意でしたか?

いきなり脇道には逸れますが、皆さんは読書感想文は得意でしたでしょうか?私が小学生だった頃は、嫌われがちな宿題の筆頭だったと記憶してます。と言っても私は個人的には好きでした。ときには宿題に出されてもいないのに読書感想文を書いていたこともあったくらいで、感想を原稿用紙にまとめるという行為にどこか楽しみを見出していました。大人になってからもブログを書いたり、こうしてnoteを書いたりしている訳ですが、そういうことに繋がっているのかもしれません。

ところで私の子供達を見ている限りでは、今では読書感想文は宿題として一般的でなくなったのではないかという印象です。夏休みに取り組みたい子は取り組んでもいい、そんな位置づけになったのではないでしょうか。もちろん読書感想文に取り組めば明文化が得意になるなんて単純には言えません。ですが今後の世界のことを考慮すると、子供の頃にある程度の書くトレーニングを積む機会があるのはいいことかもしれませんね。

さて、本題に入りたいと思います。

リモート化による仕事の非対面化、非同期化、組織の多様化により明文化が重要になる

前回のnoteで取り上げように、今後は戦略的投資としてリモートワークを取り入れる企業が増えてくることが予想されます。そしてリモートワークを選択した企業では、業務の非対面化と非同期化が進むことになります。更には場所に囚われない採用が可能になる為、外国籍人材なども含んだ組織の多様化も進むことも予想されます。

業務の非対面化、非同期化、そして組織の多様化、それらがが進む中で非常に重要になってくるのが明文化です。先日、以下の書籍にて世界最先端のリモート組織を作り上げたと名高い GitLab 社について学びました。

GitLab 社では「The GitLab Handbook」という印刷すれば数千ページにも及ぶような膨大な明文化がなされており、それを惜しげもなく全世界に公開している

GitLab 社は自分たち自身がリモートで組織を運営していく上で積み上げてきた知見を The GitLab Handbook という膨大なドキュメントにまとめ、ありがたいことに世界に向けて公開しています。The GitLab Handbook 自体はかなり膨大な量なのですが、上述の解説書でそのエッセンスを学ぶことができます。日々リモートワークで業務に取り組んでいる私には膝を打つ内容も多いのですが、その内容そのものよりも、一番学ぶべきはこの「明文化」に対する姿勢とその重要性についてだと思います。

非対面、非同期で仕事を進めていくのであれば、業務についての決定事項、その背景、どうしてそのような決定に至ったのかのロジック、そうしたハイコンテクストな情報が文章としてアクセスできる必要が出てきます。対面、同期的な仕事の進め方でもいわゆる「議事録」のようなものは一定の役割を果たしてはいましたが、あくまで対面、同期的に業務を進める上で得たコンテキストへの付加情報でした。

しかしリモートを前提にしたとたん、対面、同期的な仕事ではある意味自然に醸成されていたコンテキストが共有されなくなるので、どうしてもハイコンテキストな文章を書きあげることが重要になってきます。よってコロナ禍に端を発したリモートワークが今後世の中に広がっていくと、「書く力」、「明文化の能力」が大事になってくるという訳です。GitLab 社について更に詳しく知りたい方には、こちらの書籍はとてもおすすめです。

また、リモートワークにより多様な人材の採用を進め組織の多様化が進めば、いわゆる「空気」や「暗黙の了解」で組織を運営していくことは更に難しくなります。同じ国や地域で生まれ育った人間として、同じ枠組みで教育を受けた人間として、自然に持っていると期待されるコンテキストを使うことができないからです。そんなとき、組織として大事にしている文化は何なのか、目指しているものは何なのか、優先順位の高い事項は何なのか、そこに至るロジックは何なのか、そうしたことが明文化されていることの重要性はますます高くなっていきます。場所の制約を解き放ったとき、そういった明文化なしには組織が組織であり続けることがそもそも難しいと言えるかもしれません。

生成AIへ「入力」するデータとして明文化が重要になる

2024年は企業における生成AIの活用が一気に本格化する、企業内生成AI元年とも呼べるような年になりそうです。マイクロソフトの Azure Open AI、アマゾンの Amazon Q、Open AIのGPTsなど、いよいよもってそのインフラが整いつつあります。前回のnoteに書いた言葉ですが、企業内生成AIを最大限に利用した「AI同僚」が登場する下地は整いつつあります。

ご存じの通り、AIの力を最大限に引き出すためにはデータが必要です。そして生成AIの文脈では、広義の意味で「文章」がもっとも大切なデータとなります。その企業のビジネスが、文化が、理念や理念が、職業上の決断をした際の背景やロジックが、そうしたものが明文化されていればいるほど、「AI同僚」はその企業の文脈に沿った形で業務を手伝ってくれることになります。そのようなデータがなければ企業内生成AIではなく、ただの一般的な生成AIにしかなりません。

生成AIの力を企業の為に活かす為、AI同僚を誕生させて活躍される為、ますます明文化が重要になってくるという訳です。

HQの明文化に驚いた話

私がHQの業務にトライアルで参加をしていたとき、驚いたことのひとつが社内でNotionに明文化されている文章の量の多さとその内容の良さでした。リモート前提の企業とは言えまだ小さなスタートアップですので、明文化のようなことは後回しになっているのではないかと勝手に想像していました。しかしそこは完全リモートを前提としたHQならでは、理念や行動指針など非常に抽象度の高い内容から、業務を進める上でのメソッドなどかなり細かく具体的な内容まで、広範囲に渡って明文化がされていました。これを知ったのはまだ入社を決断する前だったので、これもひとつHQに魅力を感じた理由でもありました(ちなみに私がHQに感じた魅力については、以下のnoteにまとめてあります。)

もちろん完全リモートを前提とした私の属する開発組織にも明文化の重要性は理解されていて、日々の issue や PR への記述はもちろんのこと、サービスのアーキテクチャに関する決断の背景や、運用に問題が起こったときの情報や改善点など、様々なものが日々文章として残される文化が根付いています。

まとめ

思ったよりもだいぶ長めの投稿になってしまいましたが、リモートワークと生成AIが今後の仕事に及ぼす変化のひとつとして、「書くこと」や「明文化」の重要性が上がるという話をしました。そう言えば私がこうしてnoteに投稿しているのも、自分としては書くことのいいトレーニングになっていると思っています。

最後に

株式会社HQでは「テクノロジーの力で、自分らしい生き方を支える社会インフラをつくる」というミッションに共に挑む仲間を募集中です。私のnoteも含め諸情報から「リモートワークの会社」という印象をお持ちの方も多いかもしれませんが、あくまで上記のミッションが我々の達成したいことです。そんなミッションを掲げる企業に少しでも興味がありましたら、もちろんリモートワークへの興味もありましたら、是非下記採用ページをご覧になってみてください。

いいなと思ったら応援しよう!