調香師は凡て
M1.Elvis Presley
「I want you, I need you, I love you」
調香師と言う職業がある
香りをつくる仕事らしい
最近は「自分だけの香水づくり」とか謳って
体験ぐらいは気軽にできる。
体験の方に関しては
しょ〜もね〜とか思ったりするし
今でも別に好きではないけど
3年前までは興味すらなくて
星野源しかり、首筋の匂いがパンのような、
そういうものだけなんだ、とか漠然と思っていた
初めて香水を買ったのは3年前の秋
Maison Margieraの「By the Fireplace」
甘い匂いではあるが、なんかピリッとしてる
と言った感想しか当時は持っていなかったと思う。
匂いに嫌悪感は付き物で、例外なく自分にも
嫌いな匂いがある。
金木犀と銀杏、白い夏草、名前は知らないがあの柔軟剤
嫌いなものがあれば好きなものもあって
話さなくても風が伝える、香水というものが
面倒臭くなくて、ほどほどに、大切にしている。
M2.奇妙礼太郎「赤いスイートピー」
少し回り道をすると、
自分は長らくタバコを吸っているんだけど、
あと可愛げもある、
りんちゃんなんて呼ばれ方をしてるんだけど
「りんちゃんってタバコの匂いせんよね」
とか言われることが多い
ぜっっったいにそんな訳はなく
ぜっっっっっったいにタバコの匂いの端くれぐらいはするはずなんだけど、
俺の口臭がそんなのを飛び越すぐらいやばかったのか、
いやもしかすると体臭の方か
いやもしかしてこいつらの鼻を潰してしまった、、、?
とかいろいろ考えてしまう思春期にそんなことを
初めて言われたので、そのシーンはまぁまぁ鮮明
である
別に後から詰問する訳にもいかないので
その件はまた別、
50年後くらいの、加齢臭で香水なんて跡形もない
ただのハゲになってもまだ付き合いがあれば
セクハラに気をつけて(ここ大事)問いただそう。
加齢臭然り、人はそれぞれ香りを作るらしい
また寄り道だけど、それはたぶん
人自体がつくるものだけでなく
タバコやルームフレグランス
最近では朝日や、雨上がりのコンクリートなんかも
含めていいんじゃないかなとか
烏滸がましい事を思ってる
音楽と同じように、香りも忘れにくいもので
ラグビーをやってた頃、身体を打ちつけられる芝生に
勲章のようについてくる青い匂いも
あの時は死ぬほど鬱陶しかったけど
ふと歩いてて、道端で草刈りがしてあった時、とか
嫌に懐かしくなったりする
カーテンに含ませた芳香剤
朝日がドライヤー代わりになって
高そうなリンスまで一緒に溶かしたり
プレゼントされたレコード
新品のあの匂いが好きだったのに
針が溝を通るたびに書き換えられてる気がして
酒くさい朝としょうもない夜が
レコードの埃と一緒にはたき落とせたら
これほど楽なことはないけど
こびりついてしまうのが人間臭さ
ってことにしといてあげようかな!
香水なんてただの一部分に過ぎなくて
たぶんみんなが、凡て調香師として
大らかに忙しく、思い出を作ってたりして
適当に時間をかけて、忘れていくような
毎日にまた香りをつける
誰かの作った毎日を、嫌いにならないように
レプリカの様な表面も解けるようになれれば
大人になった、と胸を張れるかも
けど足臭いやつはやっぱり足洗ってから家入れ!
M3.ヨルシカ「逃亡」