【宝塚】【感想】月組『1789-バスティーユの恋人たち-』〜まさちゃぴ時代あってこその月組〜
こんにちは、唐梨です。
今日は月組『1789-バスティーユの恋人たち-』の感想について書こうと思います。
それでは早速いってみましょう。
『1789-バスティーユの恋人たち-』とは?
2012年にフランスで初演されたミュージカルです。
フランス革命が舞台であり、タイトルの『1789』とはフランス革命が起きた1789年、またそのフランス革命に至るまでの主人公たちの動きを指していると思われます。
宝塚では小池修一郎さん演出のもと、2015年に月組の龍真咲さん・愛希れいかさんのまさちゃぴトップコンビ時代に初演されました。
そしてそして!
今年2023年には礼真琴さん・舞空瞳さんのことなこトップコンビで再演が決定しています。
初任給を握りしめて行った想い出の観劇
個人的に『1789』は思い入れがありまして、ちょうど4月の公演だったので、初任給を握りしめて行った舞台だったのです。
と同時に、その半年くらい前、友人に誘われて行った花組版『エリザベート』で宝塚にハマった私が、1人で観劇した初めての舞台でもありました。
二重の意味で個人的メモリアルな公演だったのです。
そんな私の期待を裏切らない、帰宅してもつい口ずさみたくなる楽曲の素晴らしさと、宝塚らしい煌びやかな舞台と(特にマリー・アントワネット初登場シーンは必見)、すばらしい月組の皆様の舞台姿でした。
愛希れいかさん覚醒の回
そんな月組版『1789』は、当時トップ娘役だった、ちゃぴちゃんこと愛希れいかさん覚醒の回として有名です。愛希さんは研4にしてトップ娘役に就任しており、歴代でもかなり最年少な部類の早さなのですが、この『1789』を機に、
「若くして抜擢された、成長著しくて健気でがんばりやな、可愛い可愛いちゃぴちゃん」
から
「前述の少女のようなピュアな魅力はそのままに、いつのまにかすっかり大人の女性に成長した、力強さや貫禄も併せ持ったスゴツヨ娘役」
への評価のシフトが確固たるものになったように思います。
むろん、愛希さんは『1789』以前から高評価な娘役さんなのは言わずもがなですが、中でも特に『1789』の時のネット界隈は絶賛の嵐だったように記憶しているのです。
マリー・アントワネット役の独特なポジション
それというのも、愛希さんが演じていたマリー・アントワネット役は、従来のお約束でいけば、トップ娘役がやる役ではなかったため。どちらかといえば、後述のオランプ役の方がトップ娘役っぽい役だったのです。
それもそうで、本作中でのマリー・アントワネットはカジノで遊んだり、フェルゼン伯爵と密会していたりと、けっこう享楽的な一面も描かれています。
そしてだからこそ、後半のフランス王妃としての務めに目覚める姿が、ギャップもあいまって気高く神々しいのです。
そこを見事に演じ切ってくれたのが愛希さんでした。
オランプ役の正統派娘役な美しさ
さてさて、一方のオランプ役は、ザ⭐︎正統派娘役な役どころ。天使のように清楚で可憐で、だけど芯が強くて賢くて、機転も利くし、ここぞの時は男勝りな行動力もある。
作中内でも、アルトワ伯の手先に追っかけのようなファンがいましたが、気持ちはわかる。私も同じく「オランプちゃーーーん!」と追いかけたくなる。笑
それくらい「ああいう女の子になれたら良いなぁ」と思える役なのです。
それを演じたのが、早乙女わかばさん/海乃美月さんの役替わりダブルキャストでした。たまたま私が観劇した時が早乙女わかばさんだったので、早乙女さんだけの感想になってしまうのですが、なんといっても美しいっ!!!
早乙女さんの美しさについては下記でも語っていますが、そもそも早乙女さん自身がフランス人形みたいな超絶美形なので、フランスの作品と親和性が高いです。特にお鼻が高くてとっても綺麗なので、横顔の美しさといったらないです。
オランプの内面の美しさが、そのまま外面の美しさとして表れ出ている、そんな説得力のある演技と存在でした。
海乃美月さんも、早乙女さんとはタイプが真逆な美人さんなので、海乃さんバージョンも見たかったなぁ〜。
やたら印象に残る美弥るりかさんのアルトワ伯
そして、主役ではないけれど、やたら印象に残るメインキャラがアルトワ伯!これを演じられた美弥るりかさんが似合う似合う!
あのねっとりとした妖しい色気!美弥さんのぱっちりとした目の大きさによって、さらに色っぽさが増し増しです。『私は神だ』のナンバーはぜひ聞いてみてください。
龍真咲さんの歌唱力の高さ
そしてそして、なんといっても主人公のロナン役!トップスターさん龍真咲さんのお役です!
改めてDVDで見返してみて思ったのですが、やっぱり龍さんって歌唱力めちゃくちゃ高いですよね。声量や音程が安定していて、落ち着いて聞き入ることができます
たとえ耳だけで聞いても「あ、これ歌ってらっしゃるの龍さんやわ」とすぐ分かるくらい個性が強い方なので、そちらに話が行きがちですが、ほんと「あの超小顔で華奢なフェアリー体型のどこからこの声が!?」と思うくらい力強いのですよ!
話すと意外にクセが強い、なのに見た目はお目目キラッキラの圧倒的華やかさ、それが龍さんの魅力で、やはりトップになるべくしてなったのだなぁとしみじみ思いました。
改めてまさちゃぴ時代あっての月組
まさちゃぴ時代〜現在のれこうみ時代に至るまで、月組の人事は他組に比べてけっこう波瀾万丈だったと思います。
けど、やっぱりそれでも、まさちゃぴ時代あっての今の月組というか、連綿と受け継がれている文化ってあるなぁと思うのです。
まさちゃぴ時代にちゃぴちゃんの才能が花開いて、次のたまちゃぴ時代に続投で支えるポジションにまでなり、
次のたまさく時代では、包容力と丁寧さあふれる珠城さん×自由人で鋭い感性のさくらちゃんという、すばらしい化学反応を見せてくれて、
次のれこうみ時代では、耽美な世界観がすばらしく似合う美形2人による、月組らしいしっとり円熟した夢夢しさを見せてくれて。
もちろん、今振り返るからそう思える、という部分だったあるのでしょうが、そんな宝塚も、気づけば来年で110周年。やっぱり、この伝統と革新の繰り返し、何よりそこにある人の想いのバトンの受け渡しに、グッときます。
そんな月組の初演の歴史の次に来る、星組の再演も、今からとっても楽しみです。