【連続note小説】日向食堂 小日向真司21歳
「兄ちゃん、おれ大学に行きたい」
歳之がおもむろに言い出した。
「いいじゃないか、頑張れよ」
「すごくお金がいるんだ、うちにお金ないよな」
「お金なら何とかするよ」
真司は安直に答えてしまったが、この時一体どれほどのお金が必要なのか知る由もなかった。
後で聞いたことだが、不良仲間と縁を切った歳之は猛勉強をした。
成績はどんどん伸びて、高校での成績は群を抜いていたらしい。仕事に追い回されて、弟の学校の成績のことまで気にかけてやることができなかった。
歳之もそれがわかっていて、何も相談できずにいたが、さすがに真司に黙って大学を受験するわけにはいかなかった。
真司の安月給と文枝のパート代を併せてもたいした額にはならない。
真司はどうすればいいのか考えあぐねた。
“たかがお金のことで夢を諦めさせるわけにはいかない”
“歳之が立ち直ってここまで努力したんだ”
真司は文枝にそうしてもらったように、一心不乱に働こうと決意した。
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<続く…>
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