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【連続note小説】日向食堂 小日向真司78歳

老いるとは悲しいことなのだろうか。
若い頃のように体が動かない、元気が沸いてこない。
 
丹精を込めて作った料理に、お客さんが見せる満足げな顔を見ることが何よりも嬉しかった。
 
しかし今の自分は惰性的に料理を作っていないか、なぜかそんな想いに駆られるときがある。
 
まだやれる、まだやりたい、でも体が言うことを聞かない、そんな思いたちが真司の心の中で複雑に交錯する。
 
世の中には定年退職と言う制度がある。
それまでの功労を感謝の意を表して退職金が支払われ、職を退いた後、ゆっくりと余生を送る。
 
真司の功労とは何だろうか。
果たして自分は世の中に貢献を残してきたのだろうか。
真司にはわからない。
 
それを現世の誰かに尋ねることもまたおかしい。
自問自答したところで答えは見つからない。
そして時間だけが過ぎ、成す術もなく体は衰えていく。
 
真司:「おれの人生の勲章ってなんなんだろうなぁ、あおい」
あおい:「人のために一生懸命生きたことよ」
真司は"ふっ"と笑ってしまった。


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<続く…>

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鈴々堂/rinrin_dou@昭真
小説を読んでいただきありがとうございます。鈴々堂プロジェクトに興味を持ってサポートいただけましたらうれしいです。夫婦で夢をかなえる一歩にしたいです。よろしくお願いします。