あなたへの手紙 (企画参加作品)
大好きなあなたへ
私は今、風になって、あなたへそよぎ、あなたをつつみ、抱きしめながら、話しかけています。
鈍感なあなたは、私になんか気がつかないように遠く青い空をみつめていますね。
でも伝わってきます。
あなたが今、私に話しかけてくれていることを。
律儀に片方のイヤホンを木の幹に押し当てて。
あなたらしいな。
そんなことしなくても、ギターの音色、葉のそよぎ、聴こえてくるよ。
私はそんな、優しくて、ちょっと不器用で、暖かい、あなたが大好きです。
できるなら、身体に戻って、あなたと手をつなぎ、この場所に来たかった。
毎朝、同じベットでめざめ、眠たい目を擦りながら、あなたが淹れてくれたコーヒーを一緒に飲みたかった。
それが叶わぬなら、せめて…あなたがこれからも、笑ってくれますように。
大好きなあなたへ
風になった私から、夏の香りを届けます。
この手紙は、七田苗子さんの小説「拝啓」の返事です。
あわせて、読んでいただくと、お互いを想いながらも、あえない二人が「手紙」に気持ちを託した切なさが伝わるかと思います。
そして、二人を包む優しい音楽はギタリストジユンペイさんの「夏風」
ぜひぜひ、優しい旋律を聴きながら読んでみてください。
七田さん、ジュンペイさんの素敵なトリプルコラボ企画は新マスク文庫さんの装丁で締めくくられます。
どんな絵になるのか、今から楽しみです!
新マスク文庫さん主催の、素敵なトリプルコラボ企画、知ると同時に参加を決めました。
間を置かず「彼女」の切ない気持ちがあふれて自然と手紙になりました。
読んでいただけたら嬉しいです。
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