鏡をみつめて(#髪を染めた日 with ホーユー参加作品)
母はとても器用な人だった。
大人になった今、思い返すと、ずいぶんオシャレな人でもあった。
記憶の中の母は、いつも明るいレッドブラウンの髪色だ。
私はとても遅く生まれた子だ。兄を産んだときですら、昭和の時代には遅めの子どもであった。
そして、さらに七つ年下の私。
きっと予想外の子どもだったのだろう。母に冗談ぽく聞いてみたいが、それは叶わない。今の母は認知症を患っていて、娘である私を認識することはおろか、言葉を発することもできない。
若い頃の母が髪を染めるのは、休みの日の台所であ