赤い車(BGM:スピッツ 青い車)
小学生の頃、我が家に車があった時期が2年間くらいあった。
赤い中古の軽自動車。
4人乗りだったはずだが、5人家族だったので、きっと5人乗っていたのではないかと思う。定員オーバーだ。
父はペーパードライバーで、おまけに不器用だった。
こどもながらに、父の運転が下手なことを理解した。
向かう先は、篠栗八十八ヶ所。
本場四国のように、札所と札所との距離は離れていない。山道の多い、こじんまりしたお遍路巡りだ。
私たち家族は、夏休みの日曜日ごとにお弁当を持って赤い車で篠栗に向かったのだった。
両親は信仰心の強い人ではない。
なのに何で、家族で八十八ヶ所巡礼?
理由は分からないが、ともかく私にとってはレジャーだった。
八十八ヶ所ある札所を一つ一つ消していく達成感。
お賽銭箱や並んだお地蔵さんに、それぞれ1円玉を入れたり、置いたりする。
般若心経は繰り返し詠んでいるうちに覚えてしまった。
仏様にも詳しくなった。私は寅年だから、虚空像菩薩か…(うろ覚え)
何回くらいで回りきったのか、まったく覚えてないが、おそらく次の年の夏休みまで持ち越したような気がする。
赤い車で向かった先は、この篠栗八十八ヶ所しか覚えていない。
あれから40年。久しぶりに篠栗に行ってみようか。
今は大きな涅槃仏がいるらしい。
あの頃と変わらないところも残っているだろうか。
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