いつだって思い出してきた。すべては”一通の手紙”から始まったということを。
約12年間、私の背中を支え続けてきてくれた手紙がある。
私にとってそれは、すべての行動力の源泉…いわばエンジンと呼べるもの。
就活を終えた今年中に、けじめをつける意味でもこのnoteを書くことにした。
12年前の私。
12年前というと、私が小学4年生だったの頃の話だ。
勉強も運動も嫌い。友達と言える友達もいない。笑うことも、人と関わることも苦手。はぁ、思い出すだけで恥ずかしい…ネガティブ小学生時代。
好きなものより嫌いなものが多かったけれど、”大好き”と言える場所があった。
東京ディズニーリゾート。
そこは、誰もが笑顔になれる場所。
周りのゲストはもちろん、普段は崩れることのない私の仏頂面も、気がつけば笑顔に様変わりしてしまう魔法の国。
そこに足繫く通う中で、次第にディズニーを支える側…そこで働くキャストたちの存在に憧れの念を抱くようになった。
本気の妄想。
そんなある日、ディズニーで働く人目線で本気の妄想をしてみたことがあった。「ディズニーにあったらいいな」と思えるスイーツや商品のアイデアを考えて絵に描いた。その時のワクワクが「自分もいつかはディズニーを支える一員になりたい」という熱々の気持ちへと変化し、その想いを手紙に綴ることになり…
最終的には、ディズニーを訪れた際、その手紙をキャストに渡しに行ったのである。小学4年生のちびっこが、図々しく「会社の人に渡してください」とね。
早く追いつきたい。
数週間後、一通の手紙が我が家のポストに投函されていた。
差出人は、東京ディズニーリゾート。私の手紙に対する返事が届いたのだ。
私の描いたアイデアを、憧れの人達に見てもらえたこと。そこで「ありがたい」「嬉しい」という感情が、相手の中に生まれたこと。
読み手の私を想って、一文一文が丁寧なメッセージだった。
そして…最後の一文を目にした時。
私の胸は、ドクンと鳴った。
いつの日か青空のパークで、
ディズニーの仲間として一緒に仕事ができることを楽しみにしています。
胸の中がほくほくして、目の下がじわじわ熱くなっていくのを感じた。そして、強く思ったのだ。
きっと待ってくれているはず、と信じて。
親に反対された中学受験。部活退部の危機。病の発覚。苦しくて挫けそうになったことは他にも沢山あるけれど。
一通の手紙に綴られていた言葉たちと、それを読んだ時に生まれた決心は、すべての逆境を肯定してくれる唯一の存在だった。
逆境はむしろ「実はここ、あなたの物語の山場シーンよ」と丁寧に通知をくれる一種の通過点だと思っていて、「これを越えた先に彼らの存在が自分を待ってくれている」という謎の自信と安心感があった。
青臭いし中二病のこじらせみたいだけれど、あの一文が私を「人生」という物語の主人公にしてくれたんだなあと思う。
1つは叶って、1つは叶わなかったけれど。
就活中とある会社のインターンで、人事からそのようなフィードバックを受けたことがあった。その時ハッとして、「え、それ私がまさにキャストさんたちからもらってきた笑顔なんです!」と言いたくなった。
笑うことも、人と関わることも心底苦手な私だったけれど、自分を変える夢は少しだけ叶えられたのかもしれない。まだまだ自分をアップデートしていきたい気持ちは、ずっと変わらないけれど。
でも一方で、もう1つの夢は叶えられなかった。
いや、”叶えなかった”とも表現できるのかもしれない。
そう言えるのは、就活中に、自分の中で「ディズニーで働く」という手段を目的化してしまっていた過ちに気づいてしまったから。つまり、その先にあるはずの本質が見えなかったのだ。
就活では、「本当に”今の自分”がやりたいことは何か」を自己分析するため過去をたくさん深堀する。でも、「ディズニーで働きたい」が大前提にあったから、学校も、大学の学科もゼミも…すべて幼い頃からの夢に合わせて選んできたもの。だから、いつも頭にあるその執着を突き放して、いきなり本質的な何かを抽出することはすごく難しかった。
でもその過程があって、やっぱり「ディズニーで働きたい」夢とはお別れする必要があると気づけたのである。それだけは確かだよね、と心から納得しているから、このnoteも書くことができたのだと思う。
どんな人たちにどんな価値を提供したいのか、ハッキリと定まっていない。それを今後ゆっくり考えていく時間が、どちらにせよ必要だと思ったのだ。
人生を変えてくれたのは、一通の手紙。
ディズニーの生みの親である、ウォルトはこう言葉を残している。
私にとっての夢が、ディズニーで働くことに繋がるかどうか、どんな形になるかは分からない。
でも、すべて一通の手紙から始まったことは、どんな夢を求め続けるにしても変わらない事実だと思う。
誰かが書いた手紙が、誰かの12年をガラリと変える原動力となるエンジンになったこと。この奇跡を、軌跡を、絶対に忘れることなく未来を歩んでいこうと思う。
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