あんどうせんせい
私は人の誤解を招きやすいタイプだと思う。
決して怒らせるつもりもないのに、怒らせたり。喜んでもらおうと、ていねいにしようとしてたら、「遅い!」といらつかせたり。
その度に泣きそうになる。そんなつもりなかったのにって。
本当に不器用だ。自分を責めてしまう。
幼稚園の時、「なんて名前?」って同じクラスの子にきかれたから、私は自分の左胸に付いているチューリップ型の名札を、その子がちゃんと見れるように、と前に出そうとした。
そしたらその名札が、その子の眼に入りそうになった。私は幼いときから背が高くて、ほかの子達より頭一つ出ていたので、ちょうど、名札がそういうことになってしまった。
せっかく友達になれると思って嬉しくて、私は自分の名前を知って欲しいから、気持ちが前のめりになっていたのだ。
一連の結果、その子は泣き出した。
「先生、この子が私の目の中に名札入れようとした!!!」
(え?!そんなつもり全然なかったのに。私は、ただ、自分の名前をちゃんとしっかり見てもらおうと思って…。)
内弁慶で自己主張の苦手な私は、何を言い出すことも出来ず、うつむいて泣き出しそうになった。(今でも、その、自分の身の置きどころのない、なんとも言えないモヤモヤした感覚はハッキリと覚えている...。)
「あんどうせんせい」がやってきた。多分40~50代?だった。
私は、「あ!怒られる!!!」って思った。全身が凍り付いた。
あんどうせんせいは
「○○さん、この頃お話しにきてくれへんね。」とやさしく言ってくれたことを、何十年も経ったのに、ことの細部まですべて、私の中に映像がある。頭の中、というよりは心の中に。
「え?」
不意を突かれたあたたかさへの驚き。
子育て真っ最中は、そんな思い出も吹っ飛んで、怒り狂うことも多々だが。
だんだん子供たちがちゃんと自立して口出しすることが少なくなっていったら、そんな「あんどうせんせい」の伝えてくれたやさしさを体現できる大人を目指したい。
ありがとうございます。あんどうせんせい。