
「はじめてのりんご、どうだった?」りんご音楽祭2022広報チームの振り返り座談会(長崎編)【ココが変だよ、りんご音楽祭vol.8】
長野県松本市で毎年開催される音楽フェス、「りんご音楽祭」。14年目となる今年は5ステージに拡張し9月23日−25日に開催決定。
そもそも、「りんご音楽祭」って?他の音楽フェスと何が違うの?フェスのHow toとは?……etc
主催者のdj sleeperを中心に、その他の運営メンバーや、出演者へのインタビューなどを通じて、りんご音楽祭について紐解いていきます。お相手を務めるのは、2001年生まれのフェス初心者、長崎航平。根掘り葉掘り、りんごの魅力を探ります。
今回は、りんご音楽祭2022の広報担当を務めた長野市のフリーライター・風音が、普段は聞き役の長崎航平に逆インタビュー。初フェス、初りんごはどうだった?実際どういう仕事をしていたの?sleeperさんの印象の変化は?りんごと松本の街の関係性などなど、りんご音楽祭2022終了後の振り返りトークをお届けします。
長崎 さて、お久しぶりです!「ココが変だよ!りんご音楽祭」、りんご音楽祭2022が終わってから初めての収録となります。今回は今年のりんご音楽祭の広報、主にテキストを担当されていた風音さんをゲストにお迎えしています。
風音 よろしくお願いします。
長崎 今回は、逆インタビュー的な形で僕のことを聞いていただく回にしたいなと思うんですが、まずは簡単に自己紹介をお願いします。
風音 長野市在住でライターをしています、風音です。長崎くんと一緒に、今年のりんご音楽祭の広報をやってきました。
長崎 では、聞き役をバトンタッチします!
贅沢な予習を経て体験した初めてのりんご音楽祭
風音 長崎くんは、りんご音楽祭も、他の野外音楽フェスも参加したことがないままりんごの広報の仕事をしてきたんだよね。実際に参加してみてどうでしたか?当日はしっかり遊べた?
長崎 実際に参加してみて、会場にいる人がみんな楽しそうでいいなと思いましたね。僕は当日出店もしていたんですが、ちゃんと遊ぶぞ!っていう気持ちで、観たいアーティストを観て回りました。

風音 長崎くんはこのpodcastを通して、主催のsleeper さんや運営の人の話を聞いてきて、先にりんごの裏側まで知っていたわけだよね。
長崎 贅沢な楽しみ方だったな〜と。普通、順序が逆だと思うんですよ。僕は、行く前にばっちり予習をして、裏側のことを叩き込まれてから初参加だったので。
風音 行く前に予習した通りだった?
長崎 自分は特に、りんご開催直前に収録したNABOWA さんの回が印象に残っていて。

風音 「楽しみ方は自分で決める」ってやつだね。
長崎 そうです、運営側はとやかく言わず、遊ぶ側に委ねているっていう。楽しみ方がめっちゃ自由なんですよ。ゴリゴリ前の方に行って、全部のステージを見る人もいるし、椅子を持ってきて後ろの席でゆったりしてる人もいる。寝ている人もいる。お酒とご飯楽しみながら、なんとなく音楽を聴けてればいいや〜みたいな人もいて……。来ているお客さんの幅広さが面白かったですね。元々取材で聞いてる部分ではあったので、「あ、こういうことか」ってなりました。
限りなくハコに近いフェス
風音 なるほど〜。他に、実際に参加してみてわかったことはある?
長崎 具体的な話を出すと……、きのこステージがまじでめっちゃ、すげぇなって。
風音 今、素の長崎くんが出たね(笑)

長崎 フェスによく行く友だちと一緒に会場を回ったりもしたんですけど、みんな「ここすごいね」って言っていましたね。やっぱり、りんごって野外音楽フェスではあるけど限りなくハコに近いんですよね。
風音 話に聞いているのと実際行くのは全然違うよね。りんごで生演奏を聴いて好きになったアーティストはいる?
長崎 行ってから見つけたアーティストもいるし、名前だけ知ってるけど実際あんまり聴いたことがなくて、でも生で観たらまじヤバかったみたいな人は結構いましたね。
風音 例えば?
長崎 たくさんいますけど……、GAGLEさんはめっちゃくらいましたね。出店がそばステージだったんですが、結構、HIPHOP中心に好きなアーティストが出ていたんですよ。一日目の夜なんかはみんな好きなアーティストでした。
風音 そばステージ、昼と夜でかなり雰囲気違うよね。
長崎 そうですね。夜は、よりハコに近くなりますよね。

風音 私も実際に行くまでは、りんご音楽祭のイメージって昼のそばステージの爽やかな感じだったの。芝生と青空みたいな。三日目に初めて夜のそばステージを観て、こんなに雰囲気が違うんだ!ってびっくりした。同じステージでも、一日の中で違う雰囲気が楽しめるのはお得感があるよね。

日付が変わってから盛り上がる「夜の部」
風音 長崎くんは、夜の部も行ったんだっけ?
長崎 そうですね。1日目は、雨だったのと、僕は当日出店もしていたのでヘトヘトになって力尽きまして……。2日目の土曜日と最終日に行きました。単純にめちゃめちゃ楽しかったです。
風音 だいたい何時から何時までいたの?
長崎 出店の片付けをして、松本の街で夜ご飯を食べてから行ったので、日付が変わる前くらいですかね。そこから深夜の2-3時くらいまでいました。

風音 夜の部って日付変わるくらいから盛り上がり始めるんだよね。私も、初日と二日目に夜の部にいったんだけど、出店側とかスタッフで見かけた人がすごい踊っていて、みんな元気だなぁって。
長崎 たしかに、みんな元気ですよね。
風音 みんな遊ぶ体力がある!って思った。初日は、「私って体力ないなぁ」って凹みかけたの。でも、二日目の夜の部で周りをよく見たら、爆音のフロアのソファーで思いっきり寝てる人がいたりして。自由だな……って。楽しみ方も自分で選べるのがりんごの良さだったな!と思い出してからは、ちょっと遊んで帰る、みたいな適度な遊び方をして、私も夜の部を楽しませてもらいました。
何でも屋としてsleeperさんについて回った約半年間
風音 広報の仕事でいうと、私と長崎くんは今年の5月くらいから一緒に広報のお仕事をしてきたわけだけど、私の目に見えていない部分もきっとあったよね。改めて、今年のりんご音楽祭では、長崎くんはどういう仕事をしてきたの?
長崎 主にやっていたこととしては、各SNSの更新です。Instagram、twitter、Facebook、公式ライン、ホームページ。sleeperさんから、「これ告知してね」って依頼が来たり、逆にこういう告知をしたほうがいいんじゃないかなって提案をしたりしていました。
風音 なるほど。
長崎 投稿内容が決まったら、風音さんにテキストを作成してもらったり、りんご音楽祭にはめちゃくちゃ最高なデザインチームがいるので、こういう素材を作ってくださいってお願いをして。それらを調整して投稿するのがメインでした。
風音 調整役をしていたんだね。
長崎 あとはこのpodcastですね。取材対象を決めてインタビューして、音源を編集して公開していました。それから、sleeperさんにただついていく仕事とか。各地のウォームアップツアーに帯同して、そのままpodcastの取材もする、みたいな。松本にもちょくちょく行きましたし、結構sleeperさんと一緒に行動していましたね。
風音 なるほど。広報のディレクター兼、sleeperさんのかばん持ち……?
長崎 はい、何でも屋ですね。
風音 広報の仕事の他にも、sleeperさんと全国を一緒に回っていたんだね。
長崎 そうっすね。名古屋、大阪、東京とかにも行きました。でも、sleeperさんが普段やっていることに比べたら、僕がついていったのはほんの一部です。ほんの1%に同行して、「疲れたなぁ」とか言ってましたね。
風音 疲れましたか(笑)
長崎 疲れたけど、とにかく楽しかったですね。
「強いオーラがある人」から「優しい人」に
風音 今年、広報のお仕事は長崎くんと私の二人でやってきたわけだけど、今まではsleeperさんが全国飛び回りながらほぼ全部一人でやっていたと思うとすごいよね。
長崎 いやぁ、そうっすよね。
風音 sleeperさんについて回ってみて、sleeper さんの印象は変わった?
長崎 うーん……。
風音 そもそも、長崎くんは最初からりんご音楽祭の仕事をする前提でとsleeperさんに会ったの?
長崎 厳密にはその前だけご挨拶したことがあります。それから、僕が所属している編集の会社の社長に、「りんご音楽祭の主催者とご飯食べるから、長野の若者代表で来てよ」って呼ばれたんです。
風音 へー!長野の若者代表。
長崎 長野市の同世代の若者と、呼び出されるままめちゃくちゃいいご飯屋さん行ったらsleeper さんがいて。それで、わけもわからず美味しいご飯を食べて話したのが最初です。その時はなんで僕が呼び出されたのか、全然状況がわからなかったですね。
風音 sleeperさんとは、その時何の話をしたか覚えてる?
長崎 りんごの裏話とか、出演アーティストの話をした覚えがあります。
風音 初めて会ったときは、「なんで僕がここに?」って戸惑いが強くて、sleeper さん自体の印象は薄い?
長崎 sleeper さんがとにかくずっと喋っていて、よく喋る人だなぁって……。
風音 (笑)
長崎 強いオーラがある人だなぁっていうのが第一印象ですね。
風音 そこから一緒に仕事していくうちに印象は変わった?
長崎 一緒に過ごす時間が長くなるにつれて、優しい人だなって印象が勝ってきました。知れば知るほど、とんでもないことやってるなぁって。これはりんごに関わる人どなたにも通じるところだとは思うんですが、なんでここまでやるんだろうって、普通の人がやりたがらない仕事もしていて。それを突き詰めていくと、根源にあるのは優しさなんだろうなぁと。
風音 優しさを感じたエピソードはありますか?
長崎 優しさ……。そもそも、あの規模のフェスを主催している本人が、わざわざ名古屋や大阪のパーティーに足を運んで、DJとしても回してっていうのがまずすごいですよね。sleeper さんってアナログDJだから、毎回50キロ以上するレコードを自分で持ち運ぶんですよ。
風音 たしかに。一番トップの人が一番飛び回って。
長崎 それに、どこへ行くにもフライヤーやポスター、ステッカーを持ち歩いて配るんです。だから、松本の街中いろんなところにりんごのポスターが貼ってあるんですよね。
風音 主催者本人が配るんだ!?って私もびっくりしたなぁ。他のフェスがどうなのか知らないけど、とにかく動く人だよね。
「好きだからやってる」運営チームの人間らしさと清々しさ
風音 長崎くんはこのpodcast を通じて、sleeperさん以外の運営の人たちとも顔を合わせて話をしてきたよね。「フェスを作っている人たち」と話してみてどうでしたか?
長崎 単純に、一つ一つの収録が楽しかったです。あれだけの規模のフェスを、こういう運営の人たちが作っているんだっていうのも衝撃でしたね。いい意味での手作り感というか。
風音 手作り感!
長崎 デザインとかも、別の会社に委託で頼むんじゃなくて、昔からの知り合いの人たちに頼んでいたり。そういう、一個一個が衝撃で知らないことだらけでした。取材を重ねるにつれて、どんどんりんごのことが好きになっていけるような収録でした。
風音 なるほどなぁ。
長崎 好きでやってるとか、楽しくてやってるだけじゃない部分もたくさん見たし、裏側にいる人の思いとか、「みんなが楽しめるフェス」を作るためにここまでやってるんだ!みたいな部分も知ることができました。
風音 ここまで人がやってるんだ!っていう話は具体的になにかある?
長崎 りんごの運営の人って、別でメインの仕事がある人ばっかりなんですよ。その人が、こんなことやってるんだ!っていう。例えば、松本でいくつも飲食店を経営されている小山さんが、会計とか裏方の事務仕事を全部やられていて。それは結構驚きましたね。ここまでの人がどうして?って。
風音 たしかになぁ。私と長崎くんは、りんご音楽祭が終わってからの徹底作業も手伝わせてもらったよね。今年は初日が雨だったから、会場の芝生がグシャグシャになってしまっていて、元に戻すためにクワとかスコップを使って地面をならしていく作業。もちろんバイトの人たちもいるんだけど、運営のメインの人たちが、現場で長靴を履いてクワをふるって……。ここまで人がやってるんだっていう衝撃は私も感じたな。

長崎 そうですよね。
風音 大きいイベントって、お客さんとして参加するだけだとそこまで人の手が入ってるって想像できないんだよね。今回、こうして裏側に入らせてもらって、全部人がやってるんだ!っていう、当たり前だけど忘れられちゃう部分を見させてもらったなぁと。
長崎 本当にそうだと思います。
風音 このpodcast の中でも、長崎くんがよくsleeperさんも含めた運営の人たちを「人間っぽい」って言っていたのが印象に残っていて。私も関わらせてもらっていくうちに、みんな怒ったり笑ったりぶつかったりしながら一つの祭りを作り上げてるんだなっていうのがわかった。
長崎 単純に、「なんでやってるのか」っていう問いに対する答えは「好きだから」なんですよね。松本の街、りんご音楽祭、一緒にやってる仲間。それしかない。その清々しさがいいなぁと思いました。
松本の若者は遊び上手?
風音 音楽フェスではあるんだけど、やっている街への愛がすごく強いんだよね。長崎くんは、私よりもたくさん松本に来ていたと思うんだけど、運営側の想いを知ってから見る松本の街はどうだった?
長崎 松本に住んでいる人って松本の街が好きなんだなぁって。松本の街を一回離れて、戻ってきて、松本の街の良さに気づいたっていう人もいましたけど、結構若い高校生の子とかの口からも「松本が好き」って想いが出てくるのは面白いなって思いました。
風音 長崎くんの地元の上田とか、長野市の若者とはそこの意識が違うように感じた?
長崎 僕が一概に言い切ることはできないんですが……、長野県っていう土地って、わかりやすい魅力というか、若者が楽しいって思える魅力が、もしかしたら首都圏のいわゆる都会に比べると少ないのかなぁって。地元では、そういう魅力を求めて外に出ていく人を見てきていたんです。それと比べると、松本にはりんごみたいなフェスもあって、若い子がちゃんと遊べる場所がある。だから、高校を卒業してからもこの街で生きていこうって思える若い子がきっとたくさんいるんだろうなって。
風音 たしかにね。飲み屋さんとかクラブとか、松本には遊べるところがたくさんあるもんね。今まで、旅行で松本に行ったときはあんまりそういうイメージがなかったんだけど今回りんごに関わるようになってから、遊び場が多いし、街に若者がいるなぁって思ったな。
長崎 しかも、松本の子って遊び上手だなって。
風音 遊び上手?
長崎 なんだろう……。ただ遊べる場所があるだけじゃなくて、自分たちで遊びを作ったり、フリースタイルで遊ぶ力が松本の人ってめっちゃ高そうだなと。
風音 遊びを作るって面白いね。たしかに、そもそもりんご音楽祭自体、sleeper さんが「俺が行きたいフェスがない!ないなら作ろう」で始まっているもんね。ないなら作ろう!みたいな意識と、それができる環境がある街なのかな。
「楽しみ方は人それぞれ」
風音 長崎くんは今年は出店もしていたわけだけど、もし、完全にお客さんとしてりんごに参加するならどういう楽しみ方をしたい?
長崎 それこそ、自分も取材してたときに、ゲストの皆さんに「りんごの楽しみ方は?」みたいな質問をしては「それは人それぞれだよ」って答え方をされていて。「そうはいっても……」って内心思っていたんですよ。
風音 (笑)
長崎 でも、実際行ってみて言えることは……、「楽しみ方は人それぞれだよ」ですね。野外フェス特有の「つらい」こともなくて、お客さんがみんな無理をしていないなって思ったんです。しんどかったら街に帰ればいいし、ゆるゆる好きなアーティストを聴いて、お酒飲んでご飯食べて、盛り上がりたいときは盛り上がって……。自分だったらそうします。

風音 なるほどなぁ。楽しみ方は人それぞれだし、その時の自分次第だよね。
長崎 たしかに。
風音 今の長崎くんがしたい楽しみ方と、来年の長崎くんが、その場でしたい楽しみ方はまた違うかもしれないもんね。その時々の自分が心地良い楽しみ方をしたらいいし、それができるフェス。ほんとはね、今日のインタビューで「りんご初心者におすすめの楽しみ方」とかも聞こうと思ってたんだけど、それも「あなた次第」だよね。
長崎 そうですね、うん。僕はまだまだりんご初心者なので、たぶんりんごの遊び方をまだわかってない。……そういう気持ちです。
風音 まだまだりんご初心者!たしかにね。いやぁ、色々聞かせてもらいました。
長崎 聞き役をしてくださって、ありがとうございました。次回は、風音さんにインタビューをしてきたいと思いますので、そちらもよろしくお願いします!
風音 こちらこそ!引き続きよろしくお願いします。