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小さなころの幸せな記憶を思い出すと、きゅっと切ない。 もうパパとママの手につかまって、宙ぶらりんになることはできない パパに肩車は二度としてもらえない ママにしてもらった抱っこや ”たかいたかい” は、いつかのそれが人生最後だったわけだし 弟と一緒にお風呂に入って、大量に浮かべたスーパーボールに当たらないように避ける遊びだって、きっともう一生やらない ——— こういう幸せな記憶を、時々鮮明に思い出しては、あの頃に「二度と戻れない」ことを、ものすごく強く意識する。それ
生暖かい空気たちが勢いよく駆けていくのを感じると、たくさんの「懐かしいあの日」を思い出す。くるくると舞う木の葉とともに、忘れかけていたささやかな日々が「あたしはここよ」と踊ってみせる。きっとこれは、私だけに起こることじゃない。春の風は、優しい記憶を運んでくる。 風は、見えない。砂埃が舞うと、風が吹いていると認識できるけど、風そのものを目で捉えられるわけじゃない。それでも、皮膚は、風が好きだと叫んでいる。大切なものは目に見えないと、星の王子さまは言った。代わりに、大切だと感じ