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気のおけない人たちとレンタカーに飛び乗って、留学前夜、旅は静かに始まった。 移り変わる見慣れた景色を、ただただ目に焼き付けた。 まるで走馬灯のようだった。今日を境に生まれ変わるのかと疑いたくなるほどに、私の軌跡を総復習しているようだった。 思い出の地をあちこち巡り、ようやく目的地へ走り出すと、夜が明けていった。見つけたコンビニで休憩をしながら、悲しいのか嬉しいのかわからない感情が飽和した中に私はいた。プールに潜っているみたいに、音がぼんやりとしか入ってこなかった。世界をぐん