両手いっぱいの×××
【文字数:約500文字】
〇月△日 探索者:りんどん
平地に秋の風が吹くようになり、季節の移りが早い高地であれば、そろそろ森にはキノコがあふれるはずだ。
霊峰「富士山」は標高が高いだけでなく東西南北すべてに山地を広げ、そのうちの1つに狙いを絞ってアタックをかけた。
結果は大豊作で、ここにある両手いっぱいの白キノコを使ったら、いったい何人が命を落とすやら。
これらは以前にも不定期マガジン「おたからさがし」でも取り上げているドクツルタケだろう。
傘が開いて日数が経つと真っ白なのがくすんでしまうので、この群生地において数日以内に発生したものと推測する。
ちなみにドクツルタケ1本が成人1人の致死量らしく、そこらじゅうに生えているのを搔き集めたら、冗談じゃなく大変なことになるだろう。
私は撮影だけに留めて採取はしない主義だし、悪用を防ぐためにも群生地の場所は教えられない。
毒とかは脇に置いて、ヘッダー画像で分かるとおり茶色な森の中で、雪のように白いキノコが佇む姿は美しい。
近づけば白磁の器と見間違えそうな光沢があり、気の早い冬を知らせてくれる使者かもしれない。食べたら死者だけど。
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