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家事を好きになるコツは〈ひき算〉と〈たし算〉

「わたし、家事がきらいじゃなかったのかも……?」

そう気づいたのは25歳のとき。
大学時代に参加したインターンシップの、同窓会でのことだった。

「結婚生活はどう?」と聞かれたので「家事がつらすぎて」と打ち明けた。

当時のわたしにとってそれは深刻な問題だった。狭いワンルームはゴミ屋敷状態。今日こそ!と思っても気づくと夕方で。

友人はきょとんとした顔をしたあと、破顔して「またまたぁー」とわたしの肩をバシバシ叩いた。

「凛花ちゃん、家事好きでしょ? 泊まりに行ったときさ、パエリア作ってくれたり、サングリア仕込んでくれたりしてたじゃん。部屋もきれいだったよ? 家事がきらいだなんて信じられない」

ころころ笑う彼女の言葉に、がつんと頭をなぐられたような衝撃を受けた。

あなたがきらいなのは、本当に”家事”ですか?

紆余曲折あって、いまは、家事本著者として片づけや暮らしの仕組みづくりについて書くのを仕事にしている。10年の活動期間で、とてもたくさんの人から「家事がきらいだ」という悩みを打ち明けてもらった。

自分の経験と家事について悩むたくさんの人の話を聞いてきたいまのわたしなら、こんなふうに伝えてみる。

「あなたがきらいなのは、本当に”家事”ですか?」

家事というのは便利な言葉だ。
炊事洗濯といった”いわゆる家事”だけじゃなく、近年”名もなき家事”として知られる雑務もあれば、家事をするための”下ごしらえ”というべき時間もある。それが「家事」とひとくくりにされている。

だから、どこでつまずいているのかが分かりづらい。

次に伝えるなら、この言葉。

「家事を好きになるコツは、じつは、〈ひき算〉と〈たし算〉なんですよ」

”不快感”をひき算する

家事がきらいなの理由は「不快感」だ。

たとえば、家事以前のひと手間
レシピを何度も検索し直す時間。検索結果からどのレシピを採用するか迷う時間。材料がなくて買いにいく時間……。
こんなふうに家事以前のことに時間を取られるのが不快なのだとわかった。

感情面も大きい。家族が協力してくれなかったり、自分が片づけるのが当たり前だというような対応をされたり。
自分だけが”やらされてる感”、そして、そこから生まれる孤独感

意外なことに”感覚”もやる気を削いでいる。寒いとか暑いといった温度感濡れたり汚れたりするのが不快だという個性。痛みや痒みといった寝込むほどじゃないけれど辛い身体の感覚

不快感は、家事を「ゼロスタート」させてくれない。
だからひき算するとラクになる。

ポイントは「推理」。家事がしんどいなと思ったら、なにを不快に感じているのか、探偵のように探ってみる。

寒いなら一枚着込めばいい。おいしかったレシピはブックマークしたりメモを取ったりする。一番厄介なのが感情面だけど、人に話すとラクになることもある。

"わくわく感”をたし算する

〈家事のひき算〉をコツコツ進めていくと、だんだん家事が苦痛じゃない日が出てくる。でも、それだと好きにはなれない。

個人的には、別に好きになる必要はないと思っている。たとえば、わたしは毎日歯磨きをするけど、歯磨きは好きじゃないから。

それでも、好きになりたいなら、〈たし算〉をおすすめする。
”わくわく感”というスパイスを入れること。

わかりやすい例をいうと「イベント」だ。
たとえば、クリスマスにそれっぽいごちそうを作ってみるとか。ひな祭りだから雛人形を出してみるとか。七夕だから子どもと折り紙で飾りをつくるとか。

こういうときに行なう作業は、同じ家事であるはずなのに、なぜかクリエイティブでたのしい。この”わくわくする感じ”こそが、家事を好きになるヒントだとわたしは考えている。

しかも、”たのしい家事”のために動き出すと、普段は億劫に感じる作業までいつのまにか終わっていたりする。
たとえば、飾ったものと家族の写真を撮りたいから急いで片づける。ごちそう作りの前に、キッチンをきれいにするといったように。

”わくわく感”をたすと、爆発的なエネルギーが生まれる。

家事を好きになる”まいにちの処方箋”

もし、あなたが家事を好きになりたくて悩んでいるのなら。

まいにちの生活の中で、少しずつ、家事を好きになれる”おくすり”をあなたに贈りたい。

1.”トサカヤキマシ”を捕まえる

トサカヤキマシは暗号文。

「と(取りに行く)、さ(探す)、か(考える)、や(やり直す)、き(決める)、ま(迷う)、し(調べる)」

あたまに「その都度」がつく点に注意。
注意深く見つけて、捕まえる。

2.今日を”イベント化”する

ささやかなことでいいから、いつもと違うことをする。できれば写真やノートに記録できると最高。

  • いつもと違う料理家さんのレシピを試す

  • はじめてのレシピに挑戦する

  • 違うやり方でやってみる

  • 制限時間内に終わらせる

などなど。

家事は好きでもきらいでもいい。でも、好きになりたいなら、〈ひき算〉と〈たし算〉を試してみてほしい。

( 2,000字 )





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最後までお読みいただきありがとうございました!
実用書作家の三條凛花です。汚部屋出身からの家事本著者という経歴を生かして、どうしたら家事がラクに楽しくなるのかを発信しています。

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▼「トサカヤキマシ」についてはこちらで画像も配布してます。


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さて、この記事は、本田すのうさんの「#私も家事を好きになる」に参加させていただきたくて書いたものです。

すのうさんの記事、noteを開いたときの「おすすめ欄」によく出てくるのでたくさん読んでいるのですが、人見知りなのでコメントできずにいました。
とくに好きな記事をひとつ貼っておきますね。

わたしは、ショートスリーパーってほどじゃないんですけど、6時間くらい寝るのが身体には一番ちょうどいいんです。8時間以上寝ちゃうと、頭痛で使いものにならなくなります。
あと、寝るまでに時間がかかるタイプで、その間に色々考えてぐるぐるしちゃう。そんなわけで寝るのが好きじゃないままおとなになったのです。
すのうさんは、過眠をコンプレックスに感じながらも、寝やすい環境づくりというか、マイルールというか、そういうのを作られているのが素敵だなと思いました(^^)

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三條 凛花 │  作家
最後までお読みいただき、ありがとうございます♡

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