「梅雨明け」~ 父の残り香 ~
まもなく父の七回忌を迎える。
そのせいか、この頃ふとその人を思う時がある。
父が亡くなったことで、私はことさらに泣いた記憶がない。同じように母や妹の涙も見たことが無い。一度だけ妹が声を上げて泣いたが、それは直前の体調の変化に気付かなかったことへの”後悔”で、悲しさや寂しさの涙とは違う気がした。
いなくなった実感が乏しいからかも知れない。
「パパのことだから、その辺フラフラしてるわよ。お墓なんかにいるわけ無いし。」
あの頃も今も、私達はそう言いあい笑っている。
木の枝のよ