不審者の足音は奥深い
ゴツっ!!ゴツっ!!!ゴツっ!!!
おっ…来た来た来た
いつもの足音だ!
わたしの最近のマイブーム
それは近所のスーパーに行くとたまに会う
ピチピチの革パンツを履いた
とっても細身の男性の足音に耳を傾けること
その細身な身体とは正反対に
履いているレザーブーツのヒールを
これでもか!という勢いで地面に叩きつけながら歩くので
彼がスーパーに到着すると
それまでは日常という
静けさと秩序が流れていた店内に
雷が落ちたような衝撃が走るのだ
彼は自分で気づいているのかいないのか
自分の足音にも
周りの視線にも
まるで興味がないようで
ゴツっ!!!ゴツっ!!!ゴツっ!!!
と
稲妻のような音を出しながら
特売の野菜たちの値段を見比べている
周りのお客さんの反応を見てみると
怪訝な顔をする人
関わらないようにしてる人
慣れたような表情で
全く気にせず買い物をしている人と
さまざまだ
そして彼が店内からいなくなると
彼が到着する前にあった日常という
静けさと秩序がまた店内に流れてゆく
普通だったら
ちょっと危ない人なのかな?
と警戒するところだが
わたしは気づいてしまったのだ
雷のような音量を出す足音が
日によって変化することを
ある日は
ゴツっ!!!ゴツっ!!!ゴツっ!!!
と
雷のような足音
ある日は
ゴツっ…!!ゴツっ…!!ゴツっ…!!
と
まるで歌舞伎役者が舞台の袖から出てくる時のような
ゆっくりと、しかし鬼気迫る足音
ある日は
コツっ!!!コツっ!!!コツっ!!!
と
まるで小太鼓を叩いた時のような
軽やかな足音
まるで雷の鳴り方が微妙に違うように
その日によって足音の音色が変わるのだ
わたしの中にある日常という静けさと
秩序のリズムを変えてくれる
ピチピチの革パンツを履いた細身の男性
おっといけない、こんな時間だ
そろそろスーパーに行かなくては
今日はどんな音色を聴けるのだろう
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