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📖読書記録📖『満月珈琲店の星詠み~本当の願いごと~』

読書紹介記事を書く青沼りんです📗

今回は、疲れた人だけが訪れることができるあの不思議な珈琲店と猫のマスターの物語を描いた著者がアナザーストーリーとして新たに書き下ろした前作『満月珈琲店の星詠み』の続編をご紹介したいと思います。


●今回ご紹介する本『満月珈琲店の星詠み~本当の願いごと』

著者 望月麻衣
画  桜田千尋
発行 株式会社文藝春秋
2021年2月10日 第1刷


●あらすじ

満月珈琲店の三毛猫のマスターと星遣いの店員は、極上のメニューと占星術で迷える人の心に寄り添う。結婚と仕事の間で揺れる聡美、父の死後、明るい良い子を演じてきた小雪、横暴な父のため家族がバラバラになった純子。彼女たちが自分の本当の願いに気付いたときー。美しいイラストに着想を得た心温まる書き下ろし小説。 (文庫本あらすじ引用)



●本作のみどころ①:星を詠むマスターと惑星の名を持つ猫たち

『満月珈琲店』には三毛猫のマスターとその店員で惑星の名を持つ猫たちがいます。

黒猫のルナ、シャムのマーキュリー、アビシニアンのマーズ、白いペルシャのヴィーナス、メインクーンのジュピター、白と黒のハチ割れのサートゥルス、そしてシンガプーラのウーラノス。

彼らは星の遣いとして星詠みである三毛猫のマスターから占星術を学んでいます。

そして、仮の姿である人間になって街へと繰り出し、占星術を用いて迷える人々を日々導いています。

惑星になぞらえてかそれぞれ違った性格の彼らは、ときには解釈の違いでぶつかり合うこともありながらも、それぞれの特性を生かして迷える人々の悩みを紐解いて導いていきます。

そんな彼らがとても魅力的です。



●本作のみどころ②:『本当の願い』の根本的な意味

「自分を楽しく知る方法、それは自分の『本当の願い』を知ることです」(本文引用P28)

『本当の願い』とはなんなのだろう。

例えば、宝くじが当たりますようにとか、どうもそういうことではないらしい。

宝くじが当たりますようにという願いの根本は『お金が欲しい』ということ。

『お金』というのは経験と引き換えができるチケットのようなものなので、「家を買う経験」「美味しい料理を堪能する経験」といったお金を使う明確な理由がないと「願い」になっていないのだといいます。

そういう多少のズレが生じてしまうことで、自分の『本当の願いごと』に気付けないのだそうです。


作中で登場する女性たちはそれぞれの悩みを抱えていました。

「こんなはずではなかった」
そう嘆く彼女たちを紐解くと、それはある意味彼女たちの「願い」でもあり、多少のズレの影響で結果的に彼女たちの願いの通りになっていました。

そんな彼女たちを星の遣いであり人間の姿をした猫たちは、満月珈琲店へと導きます。

彼女たちはそこで極上のスイーツを堪能したことで心をほぐし、『出生図』による占星術で心の奥底に眠っていた「本当の願いごと」に気付くことが出来ました。


誰かを想う願いの力が、その先を生きる誰かの助けとなる。


今作は『過去からの託されごと』『前世からの縁』がテーマとなったお話しです。

『前世』といった言葉が好きな方は特に感動すること間違いないです。


三毛猫のマスターと星の遣いたちは、どこかの満月の元下でトレーラーカフェを開いているでしょう。

極上のスイーツを用意して。

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