見出し画像

📖読書記録📖 『アダルト・エデュケーション』

読書紹介記事を書く青沼りんです📗

今回は、女性側から性を欲することはタブーとされていることに関して疑問を抱いていた著者が新たに打ち破った十二の物語を綴った1冊をご紹介したいと思います。


●今回ご紹介する本『アダルト・エデュケーション』

村山 由佳
発行所 株式会社 幻冬舎
2010年7月25日 第1刷発行


本作は、異性愛や同性愛、禁断の愛など己の欲望のまま忠実になり、翻弄される彼らから見える人間のずるさや愚かさを性的描写を多く含んだ作品でもあります。

性を通じて変わるものもあればなにも変わらないものもある。

体を重ねる事で新たに気づくを得ることもあれば、さらなる寂しさに悩む12人の女性の物語です。


その中でも十二話ある中の「誰も知らない私 REBORN」をご紹介したいと思います。

●「誰も知らない私 REBORN」のあらすじ

患者として診察に来た真崎をどこかで見たような既視感を抱く心療科医の冴子。彼がある役者をしていることを打ち明けたことでその既視感が解かれ、内心腰が抜けるほど驚く冴子だったがそのことには決して触れず、彼の思いを尊重した治療をしていく。
その甲斐あって真崎の様態は回復し、医者と患者という関係でなくなってからもふたりは時々飲みに行く親しい間柄となった。
元患者に対して特別な感情を持つなら心を視る医者なんてやめるべきだと堅い信念を持っていたが、ものの見事に崩れてしまうほど真崎に惹かれていく冴子。
さらに彼女を悩ませたのは役者としてのスキルを生かし、真崎が新たに始めた事業だった。
不安と葛藤を乗り越え、努力した先に掴んだ事業を自分の誇りと語る彼を応援したいのにいつか彼の顧客に対して嫉妬心を募らせてしまい、この関係まで壊れてしまうのではないかと恐れる冴子。
そんな彼女の元に、以前から打診していて半ば諦めかけていたロサンジェルスの大学病院から研修生として招待するという報せが届いた。
ロサンジェルス行きを決意した冴子は、旅立つ前に勇気を振り絞って真崎にあることをお願いする。


●感想

どこかモヤッとする終わり方が多い中、この物語はハッピーエンドではないけど、爽やかな結末だったのがとても印象深かったです。

私は好きだからこそ伝えたいことは伝えるべきという考え方でしたが、この物語を読んで、あえて伝えないこともひとつの愛のカタチだということに気付きました。

冴子の事を救世主だと心の底から感謝をしていた真崎もまた冴子の頼み事の理由をあえて訊かず、彼女の頼み事を引き受けます。

お互いが想いあったが故に余計なことは詮索しないところが美しいけど儚い大人の恋愛だなと思いました。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?