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星のまたたきに見たものは…


皆さんが最近夜空を見上げたのはいつだろうか?
私はたった今、ベランダのキャンピングチェアに座って星を眺めている。

流行りの風邪に体をやられて、私は絶賛一人時間を過ごしている。
料理や洗濯など率先してやってくれるパートナーには頭が上がらない。きっと彼には近日中に良いことがあるだろう。

そんなわけで、意識的に一人で過ごす時間を持っているわけだが、食事はベランダのキャンピングチェアに座って、空を見ながらとっている。
陽が落ちて半袖の腕とほとんど同じくらいの温度の風が気持ちよく肌をなでて、お風呂上がりの私の前髪をちょっと揺らしていく。
そんな気持ちの良い時間。

彼が大好物のモモをむいてくれたから、私は一人で半分さらにうつして、できるだけ距離を取りながらベランダへと向かったわけだ。
その時、ふと目の前の真っ暗な空が目に入った。飛び込んできた、というほうが適当かもしれない。

ちらちらと遠くのほうでまたたくのは星だった。
ちかちかして、とても小さくて、少し色もついているように見えた。
時々動いている星がある気がしてじっと目を凝らしてみると飛行機だったりする。

それくらいの大きさの星。

これは何か書けそう、と微熱交じりの私の頭が回転し始めて、体はもうパソコンを取りに動いていた。

いざ!とパソコンを開いて、星の瞬きをみたら、空は真っ暗だった。
そんなわけない!さっきまであったんだから!ともう一度見てみるけど、本当に星はいなくなったようだった。
“ちょっと熱にやられているのかしら?”とまたモモを頬張ろうとして気が付いた。
まさにこのパソコンの画面の光が、星の瞬きを私から奪っているのだと。
試しにパソコンを半分閉じてみたら、またきれいな星たちがまるでさっきの出来事はうそのように私の目に映った。

私はパソコンを全部閉じて、しばらく星を眺めた。

何かが見えなくなっている時、案外近くのものが原因だったりするのかもしれない。
星の瞬きも、文明の利器もどちらもちゃんと目に見えるもの、だけど、時にそれはお互いの存在を見つけにくくしてしまう“障害”になることもあるのかもしれない。

このマジックのような不思議な現象に一人、鼻から垂れてくる鼻水をすすりながら心を熱くした。

星のまたたきに見たものは…

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