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【読書コラム】モヤモヤの日々/宮崎智之

読了したのは約1年半前のこと。
この本を知ったのは、たしか2022年の年末だったと思う。
とある書店のtwitter(現X)に
「“読ませてやろう”、“趣向を凝らしてやろう”という文章にお腹いっぱいになり、読書に疲れた時でも読める文章」というような内容の投稿がされていたのを覚えている。(私の拙い記憶によると)
ちょうどその頃、「読ませようと心に訴えかけてくる系」の文章に疲れていた私は、その謳い文句にまんまとやられて購入し、読み始めたのであった。

届いた時まず思ったことは、
「分厚っっっ!」
だった。
日記本とは思えない厚み。
ちょっと薄めの辞典ぐらいはある。
だが考えてみると、約1年分の日記がおさめられているのだからそれぐらいの厚みになるのも妥当なのだろう。

肝心の内容はというと、愛媛の高級みかん「紅まどんな」の話から始まったところからして、愛媛出身の身としては惹きつけられてしまった。
心の内で思っていることは、本人自ら発信しない限り知り得ない。
芸術的な文章を書いていたり、論理的で理路整然とした話し方をする人が、普段頭の中で同じように見栄えよく言葉を組み立てているとは限らない。
他人の目を意識して見かけを上手にセルフプロデュースすることはできるけれど、その人の個性や感性は見えない所にこそ秘められていて、それは案外公に認識されないのではないか。
第三者が感じることの中には共感できること、よくわからないこと、意外な発見が散らばっていて、それらを掻き集めて自分の中で咀嚼するのもまた面白い。
著者自身が日々の生活の中で感じたことをそのまま書いたのだろうけど、荒削りでもなく美化するでもなく、そのままありのままが伝わってきて、こんなことを思うのは烏滸がましいが本当に文章が上手だなと感じた。
平日限定とはいえ、文章のクオリティーを落とすことなく毎日更新を1年間続けるなんて、誰でもできることではないだろうに。

人生はささやかな毎日の積み重ねなのだから、私も1日1日を、生活を、好きな人たちを大事にして暮らしていきたい。

著者である宮崎さんとは心が動くポイントが似ている気がする(と勝手に思っている)ので、いつか本人に会える日が来たら嬉しい。


本書の中に「よくバンドマンと間違えられる」とあったので、どんな方なのか気になっていたのですが、著者の写真を見て
「言われてみると、ロック系orパンク系のバンドにいそうだな…」と思ってしまいました。
担当はべースが似合いそう。

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